「犬の具合が急に悪くなった。今すぐ往診に来てもらえる?」
「夜中でも獣医師に自宅まで来てもらえるの?」
「往診をお願いしたいけれど、どのくらい前に予約すればいい?」
犬や猫の体調が悪くなった時、
できるだけ早く獣医師に診てもらいたい
と思うのは自然なことです。
特に、
高齢で病院まで連れて行くことが難しい。
寝たきりになっている。
大型犬で移動させられない。
車がない。
病院へ行くことを強く怖がる。
という場合には、
「往診ならすぐ自宅へ来てもらえるのでは?」
と考えることもあると思います。
ですが、往診を行っている診療施設のすべてが、救急車のように連絡後すぐ自宅へ向かえるわけではありません。
また、夜間や緊急時には、往診よりも設備の整った動物病院での診療を優先した方がよい状態もあります。
今回は、
- 犬猫の往診はすぐ来てもらえるのか
- 往診が予約制である理由
- 夜間の往診について
- 夜間救急と往診の違い
- 往診を待たず病院へ行った方がよい症状
- 往診をお願いする時に伝えてほしいこと
- 予約前に準備しておくとよい情報
- 急な体調変化に備えて普段からできること
について、獣医師の立場からお伝えします。
- 往診は「連絡すればすぐ来てもらえる」とは限りません
- 福岡犬猫往診クリニックは予約制です
- 「予約制だから具合が悪くても待つ」という意味ではありません
- 夜間の往診を行っているかは施設ごとに異なります
- 福岡犬猫往診クリニックでは夜間往診を行っていません
- 往診と夜間救急は役割が違います
- 呼吸が苦しそうな時は往診を待たないでください
- けいれんや意識の異常も緊急性があります
- 大量の出血・事故・強い外傷も病院を優先します
- 尿が出ない状態も緊急になることがあります
- 嘔吐や下痢も程度によっては急いだ方がよい場合があります
- 中毒・誤食が疑われる時も早めに連絡を
- 往診を問い合わせる時に伝えてほしいこと
- 写真や動画が役立つ場合もあります
- 往診日時が決まったら準備しておくとよいもの
- 急変してから初めて往診先を探すのは大変です
- 高齢犬・高齢猫では「急変時のプラン」を家族で共有しておきましょう
- 往診は「救急車」ではなく、自宅で受ける診療方法のひとつです
- 福岡市で犬猫の往診をご検討の方へ
往診は「連絡すればすぐ来てもらえる」とは限りません
往診とは、獣医師が犬猫のいるご自宅へ移動して診察する診療方法です。
動物病院であれば、獣医師や診療設備は基本的に院内にあります。
一方、往診では、
現在いる場所からご自宅へ移動する。
必要な診療器具や薬を準備する。
前後の往診予定を調整する。
移動時間を確保する。
といったことが必要です。
そのため、
「今からすぐ来てください」
というご希望に対応できない場合があります。
往診施設によって診療体制は異なりますが、基本的には事前予約で診療しているところも多くあります。
往診を利用したい場合には、体調が大きく悪化してからではなく、できるだけ早めに相談しておくことをおすすめします。
福岡犬猫往診クリニックは予約制です
福岡犬猫往診クリニックでは、福岡市を中心に犬猫の往診を行っています。
往診をご希望の場合には、まず往診専用LINEからご連絡いただきます。
基本的な流れは、
お問い合わせ
↓
現在の症状などを確認
↓
往診可能な日時をご相談
↓
ご予約
↓
往診
となります。
ご連絡いただいた内容は獣医師かわのが確認し、犬猫の状態やお住まいの地域などを確認したうえで、往診可能な日時をご相談します。
そのため、救急動物病院のように、
連絡後すぐに自宅へ向かう緊急対応は行っていません。
「予約制だから具合が悪くても待つ」という意味ではありません
ここは、とても大切です。
往診が予約制だからといって、
「予約が取れるまで自宅で待ってください」
という意味ではありません。
犬猫の状態によっては、往診を待つことが適切ではない場合があります。
特に緊急性が高い症状では、往診よりも、設備の整った動物病院で早く治療を受けることが重要です。
大切なのは、
「往診で診てもらうこと」そのものではなく、その子が必要な医療へできるだけ早くつながること
です。
夜間の往診を行っているかは施設ごとに異なります
「夜でも往診してもらえますか?」
というご質問もあります。
夜間対応の有無は、往診施設によって異なります。
24時間対応している施設もあれば、診療時間が決まっている施設もあります。
そのため、往診を検討している場合には、
- 診療時間
- 夜間対応の有無
- 休日の対応
- 予約方法
- 対応地域
- 緊急診療に対応しているか
などを、元気な時から確認しておくと安心です。
福岡犬猫往診クリニックでは夜間往診を行っていません
福岡犬猫往診クリニックでは、夜間の往診対応は行っていません。
夜間に犬猫の体調が急激に悪化した場合には、夜間救急診療を行っている動物病院などへの受診をご検討ください。
「往診の方が移動しなくて済むから」
という理由で朝まで待ってしまうと、症状によっては必要な治療が遅れる可能性があります。
夜間に急変した時には、
「朝まで待てる状態なのか」
を自己判断するのではなく、夜間救急病院などへ電話して現在の状態を伝えてください。
往診と夜間救急は役割が違います
往診と夜間救急は、同じ獣医療でも役割が異なります。
往診は、
- 高齢になり通院が難しい
- 寝たきりになっている
- 病院への移動が大きな負担
- 自宅での介護について相談したい
- 継続的な治療を自宅で受けたい
など、事前に相談しながら自宅で診療を受ける方法として利用されることがあります。
一方、夜間救急は、
急激な体調悪化。
命に関わる可能性がある状態。
すぐ検査や治療が必要な状態。
などに対応するための診療です。
救急病院では、
酸素投与。
静脈点滴。
画像検査。
血液検査。
緊急処置。
入院管理。
などを迅速に行える体制が整えられている場合があります。
「家で診てもらえるから往診の方がよい」とは限らない
ということを知っておいてください。
呼吸が苦しそうな時は往診を待たないでください
特に注意していただきたいのが、呼吸の異常です。
たとえば、
- 呼吸が明らかに速い
- 胸やお腹を大きく使って呼吸している
- 首を伸ばして呼吸している
- 横になることができない
- 犬が激しくハアハアしている
- 猫が口を開けて呼吸している
- 舌や歯ぐきの色が青白い・紫色に見える
といった場合には、呼吸困難の可能性があります。
呼吸の状態は短時間で悪化することがあります。
このような場合には、往診予約の返事を待つのではなく、すぐに動物病院や救急病院へ相談してください。
けいれんや意識の異常も緊急性があります
けいれんが続いている。
何度も繰り返している。
呼びかけへの反応がおかしい。
突然倒れた。
意識がない。
という場合にも、早急な診療が必要になることがあります。
安全に移動できるのであれば、設備の整った動物病院へ連絡してください。
けいれん中に犬猫の口へ手を入れることは避けてください。
また、動画を撮れる状況であれば診察の参考になることがありますが、撮影するために受診を遅らせないようにしてください。
大量の出血・事故・強い外傷も病院を優先します
交通事故。
高い場所からの落下。
大量の出血。
骨折が疑われる。
大きな傷がある。
といった場合には、見た目以上に重い状態になっている可能性があります。
外からは分からない内出血や臓器の損傷などが起こっていることもあります。
このような時にも、
「自宅で診てもらった方が動かさずに済む」
と考えて往診を待つのではなく、動物病院へ連絡し、安全な搬送方法を確認してください。
尿が出ない状態も緊急になることがあります
特に猫では、
何度もトイレへ行く。
排尿姿勢をとるのに尿が出ない。
少量しか出ない。
鳴きながら排尿しようとする。
陰部をしきりになめる。
という場合があります。
尿道が詰まって尿を出せなくなる状態では、命に関わることがあります。
特に雄猫では注意が必要です。
「膀胱炎かな」と様子を見続けず、尿が出ていない場合には早めに動物病院へ相談してください。
嘔吐や下痢も程度によっては急いだ方がよい場合があります
犬猫が一度吐いたからといって、すべてが緊急というわけではありません。
ですが、
短時間に何度も吐く。
水を飲んでも吐く。
血が混じる。
激しい下痢が続く。
ぐったりしている。
子犬・子猫や高齢犬猫である。
という場合には、脱水などが急速に進むことがあります。
また、誤食や中毒、腸閉塞などが隠れている可能性もあります。
繰り返す嘔吐や強い全身症状がある場合には、往診の予約を待たず相談してください。
中毒・誤食が疑われる時も早めに連絡を
犬猫では、
人用の薬。
チョコレート。
玉ねぎ類。
ユリなどの植物。
殺虫剤や薬品。
異物。
などの誤食・中毒事故が起こることがあります。
中毒では、症状が出てからではなく、何を・どのくらい・いつ食べたのかによって早い対応が必要になることがあります。
「まだ元気だから」
と様子を見ず、誤食した物の名前やパッケージなどを確認して、動物病院へ相談してください。
自己判断で吐かせることも避けてください。
往診を問い合わせる時に伝えてほしいこと
往診をご希望の場合には、最初のご連絡で現在の状態が分かると、診療について判断しやすくなります。
たとえば、
- 犬か猫か
- 年齢
- 犬種・猫種
- おおよその体重
- 現在の症状
- いつから症状があるか
- 食事がとれているか
- 水が飲めているか
- 排尿・排便できているか
- 自分で立てるか、歩けるか
- 呼吸は苦しくないか
- 現在治療している病気
- 飲んでいる薬
- かかりつけの動物病院
- お住まいの地域
などです。
全部を完璧にまとめる必要はありません。
まず、
「何が一番心配なのか」
を伝えてください。
写真や動画が役立つ場合もあります
LINEなどで相談する場合には、症状によって写真や動画が参考になることがあります。
たとえば、
歩き方がおかしい。
呼吸の様子が普段と違う。
夜鳴きや徘徊がある。
発作のような動きがあった。
傷や皮膚の変化がある。
という場合です。
ただし、緊急性が高い場合には、
動画をきれいに撮ることよりも、早く受診することを優先してください。
往診日時が決まったら準備しておくとよいもの
往診までに余裕がある場合には、
- 現在のお薬
- お薬の袋
- 最近の血液検査結果
- 診療明細
- レントゲンや超音波検査などの結果
- 症状の写真・動画
- 食事や排泄の記録
などを準備しておくと診療の参考になります。
かかりつけ医がある場合には、これまでの治療内容が分かる情報も役立ちます。
特に複数のお薬を飲んでいる場合には、薬の名前と量が分かるようにしておいてください。
急変してから初めて往診先を探すのは大変です
高齢犬・高齢猫や持病のある子と暮らしている場合には、元気な時から、
普段通う動物病院。
夜間救急病院。
利用できる往診施設。
それぞれを確認しておくことをおすすめします。
体調が急変している時には、飼い主さん自身も不安になります。
その時に、
「どこへ電話すればいい?」
「夜でも行ける病院は?」
「往診は何時まで?」
と調べ始めるのは大変です。
普段の病院・往診・夜間救急の3つをあらかじめ考えておく
と、いざという時に判断しやすくなります。
高齢犬・高齢猫では「急変時のプラン」を家族で共有しておきましょう
特に、
心臓病。
腎臓病。
てんかん。
腫瘍。
認知機能の低下。
など、持病がある犬猫では、急な体調変化が起こる可能性があります。
そのため、
夜に悪化したらどこへ行くか。
誰が移動を手伝うか。
大型犬をどうやって運ぶか。
どの病院へ連絡するか。
どの検査結果を持って行くか。
などを家族で共有しておくと安心です。
また、一人暮らしや、普段一人で介護している場合には、
「自分一人で運べない時に誰へ頼めるか」
も考えておくとよいでしょう。
往診は「救急車」ではなく、自宅で受ける診療方法のひとつです
往診には、
病院まで移動しなくてよい。
普段の環境で診察を受けられる。
生活環境や介護方法を確認できる。
という良さがあります。
一方で、
設備に限りがある。
移動時間が必要。
すぐに伺えない場合がある。
夜間や緊急対応を行っていない施設もある。
という特徴もあります。
そのため、
往診ができるかどうかだけではなく、今その子が必要としている医療は何か
を考えることが大切です。
状態が安定していて通院の負担が大きい時には往診。
詳しい検査が必要な時には動物病院。
夜間に急変した時には夜間救急。
というように、それぞれの診療を使い分けてください。
福岡市で犬猫の往診をご検討の方へ
福岡犬猫往診クリニックでは、福岡市を中心に、事前予約制で犬猫の往診を行っています。
「高齢になり病院へ連れて行くことが難しくなった」
「寝たきりになり、自宅で診てもらいたい」
「通院による負担を減らしたい」
という場合には、往診専用LINEからご相談いただけます。
ご連絡いただいた内容を獣医師かわのが確認し、症状やお住まいの地域などを確認したうえで、往診可能な日時をご相談します。
▼往診についてのご相談はこちら
https://lin.ee/P5x6bjfZ
※福岡犬猫往診クリニックでは、緊急対応・夜間往診は行っていません。
呼吸困難、意識の異常、けいれん、大量出血、急激な状態悪化など、緊急性が高い症状がある場合には、往診を待たず、かかりつけの動物病院や夜間救急動物病院への受診をご検討ください。
福岡犬猫往診クリニック
獣医師 かわの わいちろう
※この記事は、犬猫の往診・夜間診療・緊急時の受診について一般的な情報をお伝えするものです。症状の緊急性は、犬猫の年齢・持病・身体の状態などによって異なります。緊急性が判断できない場合には、自己判断で長時間様子を見ず、動物病院へご相談ください。
参考情報
- Merck Veterinary Manual「Evaluation and Initial Treatment of Dog and Cat Emergencies」
- AAHA「Help! Is This a Pet Emergency?」
