高齢犬・高齢猫を病院へ連れて行くのが難しい時|通院の負担と往診という選択肢

「以前は普通に病院へ通えていたのに、最近は車に乗せるだけでも疲れてしまう」

「足腰が弱くなって、抱きかかえて移動するのが難しくなった」

「病院へ行った日は、帰ってからずっとぐったりしている」

犬や猫が年齢を重ねると、若い頃には問題なくできていた通院が、少しずつ大きな負担になることがあります。

そして飼い主さん自身も、

「病院へ連れて行って診てもらいたい」

という気持ちと、

「移動させることが、この子にとってつらいのではないか」

という気持ちの間で迷うことがあると思います。

そのようなときに知っておいていただきたい選択肢のひとつが、獣医師がご自宅へ伺う往診です。

今回は、

  • 高齢犬・高齢猫にとって通院が負担になる理由
  • 通院の負担を考えたい変化
  • 病院へ連れて行けないときに考えられる方法
  • 往診が選択肢になりやすいケース
  • 往診より動物病院が適している場合
  • シニア期の診療で大切にしたいこと

について、獣医師の立場からお伝えします。

高齢になると、今までできていた通院が難しくなることがあります

犬や猫は、年齢を重ねることで身体の状態が少しずつ変化します。

たとえば高齢の犬では、

  • 足腰が弱くなった
  • 立ち上がることに時間がかかる
  • 長く歩くことが難しくなった
  • 車への乗り降りができなくなった
  • 寝たきりになった
  • 移動すると疲れやすくなった

といった変化がみられることがあります。

特に大型犬の場合、若い頃には自分で車へ乗れていても、足腰が弱くなると、ご家族だけで安全に抱えて移動することが難しくなる場合があります。

高齢の猫でも、

  • キャリーケースに入ることを強く嫌がる
  • 車での移動に強いストレスを感じる
  • 環境の変化に以前より敏感になった
  • 通院後に長時間疲れた様子をみせる

など、年齢とともに通院の負担について考える場面が増えることがあります。

「今まで通えていたから、これからも同じように通える」とは限らない

ということです。

その子の年齢や身体の変化に合わせて、診療の受け方について考え直す時期が来ることもあります。

「通院が負担になっているかも」と感じたら確認したいこと

病院へ連れて行くことが負担になっているかどうかは、年齢だけでは判断できません。

同じ15歳でも、自分で歩いて車に乗れる子もいれば、立ち上がること自体が難しい子もいます。

大切なのは、その子自身の変化を見ることです。

たとえば、

「最近、車への乗り降りが難しくなった」

「少し歩くだけでも息が上がるようになった」

「通院後の疲れが以前より強くなった」

「抱き上げると痛がるようになった」

「キャリーケースに入ると以前より激しく嫌がる」

「病院へ行ったあとは食欲が落ちることがある」

など、以前との違いがあれば、一度診療方法について考えてみてもよいと思います。

ただし、

「通院が負担そうだから病院へ行くのをやめよう」

と自己判断することはおすすめできません。

病状によっては、負担があっても動物病院での検査や治療が必要になることがあります。

まず獣医師へ相談し、その子の状態に合った方法を考えることが大切です。

「病院へ連れて行けない=診察を受けられない」ではありません

高齢犬・高齢猫の飼い主さんから、

「もう車に乗せられないので、病院へ連れて行くことができません」

「寝たきりなので、このまま家で見ているしかないでしょうか」

とご相談いただくことがあります。

通院が難しくなったからといって、必ずしも診療を受けられなくなるわけではありません。

そのような場合に、往診という方法があります。

往診では、獣医師が犬や猫が普段生活しているご自宅へ伺い、状態を確認します。

移動するのは犬猫ではなく獣医師なので、通院による身体的な負担を減らせる場合があります。

特に、

  • 高齢になって歩くことが難しい
  • 寝たきりになった
  • 大型犬で家族だけでは移動させることが難しい
  • 通院による疲労が大きくなった
  • ご自宅で療養している

といった場合には、往診を検討することがあります。

ご自宅だから確認できることもあります

往診では、その子が普段生活している環境を実際に確認できます。

高齢犬・高齢猫では、病気だけではなく、毎日の生活そのものを整えることが大切になる場合があります。

たとえば、

  • 普段どこで寝ているのか
  • 自分で寝返りができるのか
  • 食事や水まで移動できるのか
  • トイレまで自分で行けるのか
  • 床が滑りやすくなっていないか
  • 段差の移動が難しくなっていないか
  • ご家族がどのように介護しているのか

などです。

動物病院の診察室では分からない、普段の生活の様子を確認できることは、往診の特徴のひとつです。

特に寝たきりの子や介護が必要になった子では、

「この寝床で大丈夫?」

「食事はどうしたらいい?」

「排泄のお世話が難しくなってきた」

といった、日常生活についての相談が必要になることもあります。

シニア期は「治療だけ」でなく毎日の過ごし方も大切になります

若い犬猫では、

「病気を見つけて治療すること」

が診療の大きな目的になることがあります。

もちろん、高齢になっても必要な検査や治療を行うことは大切です。

一方で、シニア期になると、

「日々をどう過ごせているか」

についても考える場面が増えてきます。

食事はとれているか。

水は飲めているか。

痛みはないか。

自分で眠れているか。

排泄はできているか。

呼吸は苦しくないか。

ご家族がお世話を続けられる状態なのか。

こうしたことも、その子の生活を考えるうえで大切なポイントです。

往診では、身体の診察だけではなく、ご自宅での生活について一緒に考えることもできます。

通院の負担を減らすためにできる工夫もあります

「往診を利用するほどではないけれど、以前より通院が大変になった」

という場合もあると思います。

その場合には、まずかかりつけの動物病院へ相談してみましょう。

たとえば、

混雑しにくい時間帯に受診できるか相談する。

待ち時間を減らせる方法がないか確認する。

車の中などで待機できるか確認する。

通院頻度について相談する。

必要な検査をまとめられるか相談する。

など、その子の状態や病院によっては通院の負担を減らせる方法が見つかることもあります。

高齢になったからといって、

「通院を続ける」か「往診へ完全に切り替える」か

の二択ではありません。

今までのかかりつけ医を利用しながら、必要なときだけ往診を利用するという方法もあります。

かかりつけの動物病院と往診を併用することもできます

往診を利用するからといって、これまで診てもらってきた動物病院との関係を終わらせる必要はありません。

たとえば、

詳しい検査はかかりつけの動物病院で。

通院が難しい時期の状態確認は往診で。

という使い分けもできます。

また、

病状が安定している時期には自宅で診察を受け、

詳しい検査が必要になったときには病院へ行く、

という方法も考えられます。

かかりつけの動物病院には、これまでの検査結果や治療の経過など、大切な情報があります。

往診を利用するときには、

  • 過去の検査結果
  • 診断されている病気
  • 現在飲んでいる薬
  • これまで行った治療

などを獣医師へ伝えてください。

診療する場所が変わっても、その子の治療はひとつながりです。

情報を共有しながら診療を続けていくことが大切です。

往診より動物病院へ行った方がよい場合もあります

高齢犬・高齢猫だからといって、すべて往診の方がよいわけではありません。

状態によっては、通院の負担よりも、設備の整った動物病院で早く検査・治療を受けることの方が重要になる場合があります。

たとえば、

  • 呼吸が非常に苦しそう
  • 意識がない、反応がおかしい
  • けいれんが続いている
  • 大量に出血している
  • 急激に状態が悪くなった
  • 大きな外傷がある

など、緊急性が高い状態です。

また、レントゲンなどの検査、手術、入院管理などが必要な場合も、動物病院の設備が必要になります。

「高齢だから移動させたくない」

というお気持ちはとても自然なものだと思います。

ですが、

移動させる負担と、必要な治療を受けないことによる負担のどちらが大きいのか

を考えなければならない場合もあります。

判断に迷うときには、症状を獣医師へ伝えて相談してください。

病院へ連れて行くべきか、往診にするべきか迷ったら

飼い主さんだけで、

「今日は病院」

「今日は往診」

と判断することが難しい場合もあります。

そのようなときには、

  • どのような症状があるのか
  • いつから続いているのか
  • 自分で立てるか
  • 歩けるか
  • 食事や水をとれているか
  • 呼吸の様子
  • 排尿・排便の状態
  • 現在治療している病気

などを伝えて獣医師へ相談してください。

その情報をもとに、

往診を待つことができそうなのか。

設備の整った病院へ行った方がよいのか。

を考えることができます。

「どちらが正解なのか分からない」という段階で相談しても構いません。

高齢になったからこそ、今のその子に合った診療方法を

犬や猫が高齢になると、若い頃と同じようにできないことが少しずつ増えていきます。

それは通院についても同じです。

以前は簡単にできていたことが、今は大きな負担になっているかもしれません。

だからこそ、

「今までこうしてきたから」ではなく、「今のこの子には何が合っているか」

を考えることが大切だと思います。

病院へ通う。

往診を利用する。

かかりつけ医と往診を併用する。

ご自宅でのケアを増やす。

選択肢はひとつではありません。

そして、

「病院へ連れて行けなくなったから、もう何もできない」

と思わないでください。

ご自宅だからできることが残されている場合もあります。

大切なわが子が年齢を重ねたときにも、その子とご家族にとって無理の少ない方法を、一緒に考えていければと思っています。

福岡市で高齢犬・高齢猫の往診をご検討の方へ

福岡犬猫往診クリニックでは、福岡市を中心に犬猫の往診を行っています。

「高齢になり、病院への移動が難しくなった」

「寝たきりになり、家族だけでは連れて行けない」

「今の状態で往診をお願いできるか知りたい」

という場合には、往診専用LINEからご相談いただけます。

▼往診についてのご相談はこちら
https://lin.ee/P5x6bjfZ

犬猫の状態によっては、往診ではなく動物病院での診療をご案内する場合があります。

福岡犬猫往診クリニック
獣医師 かわの わいちろう


※この記事は、高齢犬・高齢猫の通院と往診について一般的な情報をお伝えするものです。犬猫の状態や必要な検査・治療によって適切な診療方法は異なります。急激な体調悪化や緊急性の高い症状がみられる場合には、設備の整った動物病院での診療が必要になることがあります。

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