「散歩中に、犬が植物をかじってしまった」
「猫が家に飾っていた花を口にしていたかもしれない」
「きれいな花だけど、犬や猫が食べても大丈夫なの?」
犬や猫と暮らしていると、身近な植物について、
「この植物は食べても大丈夫なのかな?」
と気になることがあると思います。
秋になると、紫色や淡いピンク色のきれいな花を咲かせるイヌサフラン。
見た目がきれいな植物なので、
「少しくらいなら、犬や猫がかじっても大丈夫なのでは?」
と思う方もいるかもしれません。
しかし、
イヌサフランは、犬や猫にとって注意が必要な植物です。
食べてしまうと、重い中毒につながることがあります。
また、食べた直後に元気そうに見えていても、あとから症状が現れる可能性があります。
今回は、
- イヌサフランとは
- 犬猫にとって危険な理由
- イヌサフランに含まれるコルヒチン
- 食べた時にみられる症状
- 重症化した場合に起こること
- 骨髄への影響
- 食べた直後に元気でも注意が必要な理由
- 誤食した可能性がある時に確認したいこと
- 植物の写真を残しておく理由
- 自宅で無理に吐かせてはいけない理由
- イヌサフランの誤食を防ぐためにできること
について、獣医師の立場からお伝えします。
- イヌサフランは秋に花を咲かせる植物です
- イヌサフランには「コルヒチン」が含まれています
- 花だけに注意すればよいわけではありません
- 犬や猫がイヌサフランを食べるとどんな症状が出る?
- 嘔吐や下痢に注意してください
- お腹を痛がっていないか確認してください
- 食欲が落ちていないか確認してください
- 「元気がない」「ぐったりしている」も大切な変化です
- 重症になると複数の臓器へ影響することがあります
- 「少ししか食べていないから大丈夫」と決めつけないでください
- イヌサフラン中毒では「骨髄」への影響にも注意が必要です
- 食べた直後に元気でも安心とは限りません
- 症状が出るまで待つ必要はありません
- 食べた可能性がある時に確認してほしいこと
- 「いつ食べたのか」を確認してください
- 「どの部分を食べたのか」も大切です
- 「どのくらい食べたのか」も確認してください
- 現在の症状も一緒に伝えてください
- 植物の写真が撮れる場合は残しておきましょう
- 自宅で無理に吐かせないでください
- 自宅で何かを飲ませるのも避けてください
- まず動物病院へ連絡してください
- 誤食を防ぐために庭の植物を確認してみましょう
- 散歩中に植物を食べさせないよう注意してください
- 切り花や鉢植えの置き場所にも注意してください
- 新しい植物を迎える前に確認する習慣を
- 身近な植物だからこそ注意してください
- 「きれいな花=安全」ではありません
- 「今は元気だから大丈夫」と決めつけないでください
- 「少しだから大丈夫」と決めつけないことが大切です
イヌサフランは秋に花を咲かせる植物です
イヌサフランは、秋になると紫色や淡いピンク色の花を咲かせる植物です。
とてもきれいな花なので、
庭で見かける。
鉢植えとして目にする。
切り花として見る。
という機会もあるかもしれません。
ですが、
見た目がきれいだから、犬や猫にとっても安全とは限りません。
イヌサフランは、犬や猫が口にすると中毒を起こす可能性がある植物です。
犬や猫と暮らしているご家庭では、
「見たことがある植物かどうか」
だけではなく、
「犬や猫が食べても安全な植物なのか」
という視点で確認しておくことが大切です。
イヌサフランには「コルヒチン」が含まれています
イヌサフランには、
コルヒチン
という強い毒性を持つ成分が含まれています。
犬や猫がイヌサフランを食べてしまうと、この成分によって中毒症状が起こることがあります。
そして注意していただきたいのは、
花だけではない
ということです。
花だけに注意すればよいわけではありません
イヌサフランでは、植物全体に有毒成分が含まれています。
そのため、
「花の部分だけ犬や猫から離しておけば大丈夫」
とは考えないようにしてください。
花。
葉。
などを、犬や猫が口にしないよう注意する必要があります。
植物が置かれている場所だけでなく、
犬や猫が実際に届く場所なのか。
口に入れてしまう可能性がないか。
というところまで考えておくことが大切です。
犬や猫がイヌサフランを食べるとどんな症状が出る?
イヌサフランを食べた場合には、さまざまな症状がみられることがあります。
たとえば、
- 嘔吐
- 下痢
- 腹痛
- 元気がなくなる
- 食欲が落ちる
- ぐったりする
といった症状です。
すべての症状が必ず現れるというわけではありません。
そのため、
「吐いていないから大丈夫」
「下痢をしていないから問題ない」
と、一つの症状だけで判断しないことが大切です。
嘔吐や下痢に注意してください
イヌサフランを食べた犬猫では、嘔吐や下痢がみられることがあります。
中には、
激しい嘔吐や下痢
になることもあります。
もしイヌサフランを食べた可能性があり、
何度も吐いている。
下痢をしている。
という場合には、動物病院へ相談してください。
「植物を少し食べただけだから」
と軽く考えないことが大切です。
お腹を痛がっていないか確認してください
イヌサフランを食べた場合には、腹痛がみられることもあります。
犬や猫は、
「お腹が痛い」
と言葉で伝えることはできません。
だからこそ、
いつもと様子が違わないか。
落ち着かない様子がないか。
元気がなくなっていないか。
など、普段との違いを見てあげてください。
食欲が落ちていないか確認してください
普段は食事を楽しみにしている犬や猫が、
ご飯を食べない。
食事へ興味を示さない。
いつもより明らかに食べる量が少ない。
という場合には、体調の変化が起きている可能性があります。
特に、
イヌサフランを食べた可能性がある。
さらに食欲も落ちている。
という場合には、そのことを獣医師へ伝えてください。
「元気がない」「ぐったりしている」も大切な変化です
イヌサフラン中毒では、
元気がなくなる。
ぐったりする。
という変化がみられることもあります。
日頃から愛犬・愛猫の様子を見ている飼い主さんだからこそ、
「今日はいつもと違う」
と感じることがあると思います。
植物を食べた可能性がある場合には、
その小さな違和感も大切な情報になります。
重症になると複数の臓器へ影響することがあります
イヌサフランによる中毒は、
嘔吐。
下痢。
食欲低下。
といった症状だけとは限りません。
重症になると、
肝臓や腎臓など複数の臓器へ影響が出ることがあります。
さらに、
血圧が低下し、ショック状態になることもあります。
そのため、
「植物を少し食べただけ」
と簡単に考えることのできない中毒です。
「少ししか食べていないから大丈夫」と決めつけないでください
誤食に気づいた時、
「ほんの少ししか口にしていない」
「全部食べたわけではない」
と思うと、
もう少し自宅で様子を見てもいいのでは?
と考えることもあると思います。
ですが、イヌサフランは重い中毒につながる可能性がある植物です。
そのため、
「少しだから大丈夫」
と自己判断しないようにしてください。
食べた可能性がある場合には、動物病院へ相談してください。
イヌサフラン中毒では「骨髄」への影響にも注意が必要です
イヌサフラン中毒について、もう一つ知っておいていただきたいことがあります。
それが、
骨髄への影響
です。
イヌサフランを食べたことで、
血液をつくる働きが抑えられてしまうことがあります。
そして、この影響で注意したいのが、
症状があとから出てくる可能性がある
ということです。
食べた直後に元気でも安心とは限りません
犬や猫が植物を食べた直後に、
普通に歩いている。
元気そうに見える。
ご飯も食べている。
ということがあります。
そうすると、
「何ともなさそうだから大丈夫」
と思ってしまうかもしれません。
ですが、イヌサフラン中毒では、症状があとから現れる可能性があります。
そのため、
食べた直後に元気=問題ない
とは言い切れません。
症状が出るまで待つ必要はありません
イヌサフランを食べた可能性がある場合には、
「吐いたら病院へ行こう」
「元気がなくなったら相談しよう」
と症状が出るまで待つのではなく、
食べた可能性が分かった段階で動物病院へ相談してください。
現在元気そうに見えることも含めて、獣医師へ伝えてください。
食べた可能性がある時に確認してほしいこと
犬や猫がイヌサフランを食べた可能性がある場合には、分かる範囲で状況を確認しておきましょう。
確認していただきたいのは、
- いつ食べたのか
- どの部分を食べたのか
- どのくらい食べたのか
- 現在、症状があるのか
ということです。
すべて正確に分からなくても構いません。
分かる範囲の情報を獣医師へ伝えてください。
「いつ食べたのか」を確認してください
誤食した可能性に気づいたら、
まず、
いつ頃食べたのか
を思い出してみてください。
数分前なのか。
少し時間が経っているのか。
正確な時間が分からない場合でも、
「このくらいの時間だったと思う」
という情報で構いません。
分かる範囲で伝えてください。
「どの部分を食べたのか」も大切です
イヌサフランは植物全体に有毒成分が含まれているため、
どの部分を口にしたのか
も分かれば確認しておきましょう。
花を食べたのか。
葉を食べたのか。
詳しく分からないのか。
そのまま獣医師へ伝えてください。
「どのくらい食べたのか」も確認してください
食べた量についても、分かる範囲で確認してください。
どの程度なくなっているのか。
食べているところを実際に見たのか。
口に入れていたけれど、飲み込んだかは分からないのか。
など、分かる範囲の情報で構いません。
正確な量が分からないからといって、相談できないわけではありません。
現在の症状も一緒に伝えてください
動物病院へ相談する際には、
現在、
吐いているか。
下痢をしているか。
食欲はあるか。
元気はあるか。
ぐったりしていないか。
なども伝えてください。
そして、
今のところ症状はありません
という場合も、それ自体が大切な情報です。
植物の写真が撮れる場合は残しておきましょう
食べた植物の写真が撮れる場合には、撮影しておくと受診時の参考になることがあります。
「イヌサフランだと思うけれど、自信がない」
という場合にも、植物の写真があれば情報の一つになります。
ただし、写真を撮るために受診や相談を遅らせる必要はありません。
撮影できる状況であれば、残しておきましょう。
自宅で無理に吐かせないでください
犬や猫が危険なものを食べたと気づくと、
「すぐに吐かせた方がいいのでは?」
と思う方もいるかもしれません。
ですが、
自宅で自己判断して無理に吐かせることは避けてください。
自宅で何かを飲ませるのも避けてください
「吐かせるために何かを飲ませよう」
「何か飲ませれば薄まるのでは?」
と考えることもあるかもしれません。
ですが、
自己判断で何かを飲ませることも避けてください。
食べたものや、その子の状態によって必要な対応は異なります。
まずは獣医師へ連絡し、指示を受けることが大切です。
まず動物病院へ連絡してください
イヌサフランを食べた可能性がある場合には、
自宅で何とかしようとするより、
まず動物病院へ連絡してください。
その際には、
いつ。
どの部分を。
どのくらい。
食べた可能性があるのか。
そして現在どのような状態なのか。
を伝えましょう。
誤食を防ぐために庭の植物を確認してみましょう
イヌサフランの中毒を防ぐために大切なのは、
犬や猫が口にしない環境をつくること
です。
犬や猫と暮らしているご家庭で庭に植物がある場合には、
どのような植物があるか
を一度確認してみてください。
身近な植物でも、犬や猫にとって注意が必要なものがあります。
散歩中に植物を食べさせないよう注意してください
犬の場合には、散歩中に植物へ興味を示すことがあります。
においを嗅いでいるうちに、そのまま口へ入れてしまうこともあります。
散歩中には、
犬が何を見ているのか。
何を口にしようとしているのか。
を少し意識して見てあげてください。
切り花や鉢植えの置き場所にも注意してください
誤食は屋外だけで起こるとは限りません。
自宅へ持ち込んだ、
切り花。
鉢植え。
などを犬や猫が口にしてしまう可能性もあります。
そのため、
犬や猫の届かない場所に置く
ということも大切です。
特に猫は、人が思っている以上にさまざまな場所へ移動することがあります。
実際にその子が届かない場所かどうかを確認してみてください。
新しい植物を迎える前に確認する習慣を
新しく花や植物を家へ迎える時には、
「この植物は犬や猫にとって安全なのかな?」
と一度確認する習慣をつけておくことも大切です。
見た目だけでは、その植物が犬猫にとって安全なのか危険なのかを判断することはできません。
だからこそ、
家へ置く前に確認する。
犬猫が触れない環境をつくる。
という意識が誤食予防につながります。
身近な植物だからこそ注意してください
植物による誤食というと、
特別な場所に生えている珍しい植物
をイメージするかもしれません。
ですが、注意したい植物は、私たちの身近にあることがあります。
庭。
散歩道。
鉢植え。
切り花。
身近にあるからこそ、
「この植物は大切な子にとって安全かな?」
と確認する習慣をつけておくことが大切です。
「きれいな花=安全」ではありません
イヌサフランは、秋にきれいな花を咲かせます。
見た目だけでは、
犬や猫にとって危険な植物だとは分かりにくいかもしれません。
ですが、
見た目のきれいさと、犬猫にとって安全かどうかは別の問題です。
犬や猫と暮らしている場合には、植物を選ぶ時にも、
「食べてしまったらどうなるのか」
という視点を持っておくことが大切です。
「今は元気だから大丈夫」と決めつけないでください
イヌサフランを食べた可能性があっても、
直後には普段通り元気そうに見えることがあります。
ですが、
中毒による影響があとから現れる可能性があります。
そのため、
「今元気だから問題ない」
と決めつけないことが大切です。
症状が出るのを待たず、早めに動物病院へ相談してください。
「少しだから大丈夫」と決めつけないことが大切です
秋に紫色や淡いピンク色のきれいな花を咲かせるイヌサフラン。
私たちから見ると美しい植物ですが、犬や猫が食べてしまうと、重い中毒につながることがあります。
イヌサフランにはコルヒチンという強い毒性を持つ成分が含まれ、植物全体に注意が必要です。
食べてしまうと、
嘔吐。
下痢。
腹痛。
元気低下。
食欲低下。
ぐったりする。
といった症状がみられることがあります。
さらに重症では、複数の臓器への影響やショック状態につながることもあります。
また骨髄への影響によって、あとから症状が現れる可能性もあります。
だからこそ、
「少ししか食べていないから」
「今は元気だから」
と自己判断しないようにしてください。
食べた可能性がある場合には、
いつ食べたのか。
どの部分を食べたのか。
どのくらい食べたのか。
現在症状があるのか。
を分かる範囲で確認し、動物病院へ相談してください。
そして、自宅で無理に吐かせたり、何かを飲ませたりすることは避けてください。
大切なのは、
食べてから対応するだけでなく、食べない環境をつくること。
庭にある植物。
散歩中に出会う植物。
自宅へ飾る切り花や鉢植え。
新しく迎える植物。
身近な植物について、
「この植物は大切な子にとって安全かな?」
と一度確認する習慣をつけておくこと。
それが、大切な犬や猫を守ることにつながると私は思っています。
※この記事は、犬猫によるイヌサフランの誤食について一般的な情報をお伝えするものです。イヌサフランを食べた可能性がある場合には、症状が出るのを待たず動物病院へご相談ください。自宅で自己判断して無理に吐かせたり、何かを飲ませたりすることは避け、獣医師の指示を受けてください。
獣医師 かわの わいちろう
