犬猫が食べているのに痩せる時|水をよく飲むなら糖尿病の可能性も獣医師が解説

「ご飯はちゃんと食べているのに、なぜか痩せてきた」

「最近、水を飲む量が増えた気がする」

「食欲はあるのに、抱っこすると以前より軽く感じる」

愛犬や愛猫にこのような変化があったら、

「食べる量が足りないのかな?」

「年齢のせいかな?」

と考える方もいらっしゃると思います。

ですが、

犬や猫が食べているのに痩せていく場合、病気が隠れていることがあります。

その一つが糖尿病です。

糖尿病では、

よく食べる。

水をよく飲む。

尿の量が増える。

それなのに体重が減っていく。

という、一見すると不思議な変化がみられることがあります。

今回は、

  • 犬猫の糖尿病とは
  • 食べているのに痩せる理由
  • 水をよく飲むようになる理由
  • 尿量が増える理由
  • 「食べているから大丈夫」とは限らない理由
  • 一緒に確認してほしい身体の変化
  • 普段から知っておきたいこと
  • 動物病院へ相談したいタイミング

について、獣医師の立場からお伝えします。

犬や猫の糖尿病とは?

糖尿病とは、インスリンの不足や働きの低下などによって、血液中のブドウ糖を身体がうまく利用できなくなり、血糖値が高い状態が続く病気です。

本来、食事から得られたブドウ糖は、身体を動かすための大切なエネルギー源として利用されます。

ところが糖尿病になると、このブドウ糖を十分に利用できなくなります。

そのため、

「ちゃんとご飯を食べているのに体重が減っていく」

という変化が起こることがあります。

食べているのに痩せるのはなぜ?

飼い主さんからすると、

「こんなに食べているのに、どうして痩せるの?」

と不思議に感じると思います。

糖尿病では、食事をしていても、その栄養を身体が十分にエネルギーとして利用できないことがあります。

すると身体は、不足しているエネルギーを補うために脂肪などを使い始めます。

その結果、

食欲はあるのに体重が減っていく

という、一見すると矛盾しているような変化が現れることがあります。

「よく食べるのに痩せる」は糖尿病でみられる症状の一つです

糖尿病では、

食欲がある。

むしろ以前よりよく食べる。

それなのに体重が減っていく。

ということがあります。

そのため、

「ご飯をしっかり食べているから、体調は大丈夫そう」

とは限りません。

食欲だけではなく、

体重が維持できているか

も一緒に確認することが大切です。

「水をよく飲む」ことも大切なサインです

糖尿病でもう一つ知っておいていただきたいのが、

水を飲む量の変化

です。

糖尿病になると尿に糖が出ることで尿量が増え、それを補うために水をたくさん飲むようになることがあります。

そのため、

「最近、水皿へ行く回数が増えた」

「以前より水の減りが早い気がする」

という変化に気づくことがあります。

尿の量が増えていないかも確認してください

水を飲む量と一緒に確認していただきたいのが、尿量です。

糖尿病では、

尿量が増える。

↓

失った水分を補うために水を多く飲む。

という変化がみられることがあります。

つまり、

よく水を飲む

だけではなく、

おしっこの量が増えた

という変化も大切です。

「食欲・飲水・尿・体重」を一緒に見てください

特に確認していただきたいのが、

「最近、お水を飲む量が増えた」

「おしっこの量が増えた」

「食欲はある」

「でも体重が減っている」

という変化の組み合わせです。

このような変化が一緒に現れている場合には、一度獣医師へ相談してください。

一つの症状だけでは気づきにくくても、複数の変化を一緒に見ることで、

「いつもと違う」

と気づけることがあります。

「食べているから大丈夫」とは限りません

今回、特に知っておいていただきたいことです。

犬や猫の体調が悪くなると、

「ご飯を食べなくなる」

というイメージを持っている方も多いと思います。

もちろん、食欲低下はさまざまな病気でみられる大切なサインです。

ですが、

「食べている=病気ではない」

とは限りません。

糖尿病では、むしろ食欲が増しているのに体重が減っていく場合があります。

糖尿病が進行すると食欲がなくなることもあります

糖尿病では食欲がある状態だけが続くとは限りません。

病気が進行すると、

  • 食欲がなくなる
  • 嘔吐する
  • ぐったりする

といった状態になることがあります。

このような症状は、糖尿病性ケトアシドーシスなど重い状態でもみられるため、早めの受診が必要です。

「今までよく食べていたのに、急に食べなくなった」

「吐いてぐったりしている」

という場合には、長時間様子を見ず獣医師へ相談してください。

体重だけでなく、ほかの変化も確認してください

「食べているのに痩せてきた」

と感じた時には、体重だけを見るのではなく、

  • 水を飲む量が増えていないか
  • 尿の量や回数が増えていないか
  • 食欲が以前より増えていないか
  • 元気がなくなっていないか
  • 毛づやに変化がないか
  • 嘔吐していないか

なども一緒に確認してみてください。

こうした日常生活の変化は、診察を受ける時にも大切な情報になります。

犬では白内障がみられることがあります

犬では、糖尿病に伴って白内障がみられることがあります。

糖尿病と診断されている犬だけでなく、

食欲があるのに痩せてきた。

水を飲む量が増えた。

尿量が増えた。

といった変化があり、さらに目にも変化を感じる場合には、獣医師へ相談してください。

猫では歩き方に変化が出ることがあります

猫では、糖尿病に伴う神経障害によって、歩き方に変化がみられる場合があります。

そのため、

以前と歩き方が違う。

という変化も確認してください。

ただし、

これらの症状があるからといって、必ず糖尿病というわけではありません。

「食べているのに痩せる」原因は糖尿病だけとは限りません

体重減少や多飲多尿は、糖尿病以外の病気でもみられる症状です。

そのため、

「食欲がある」

「痩せてきた」

「水をよく飲む」

という症状だけで、飼い主さん自身が糖尿病と判断することはできません。

自己判断ではなく、動物病院で検査を受けることが大切です。

「いつもの体重」を知っておきましょう

私は、飼い主さんにぜひ知っておいていただきたいことがあります。

それは、

その子の「いつもの状態」

です。

まず知っておきたいのが体重です。

毎日一緒に暮らしていると、少しずつ痩せている変化には意外と気づきにくいものです。

見た目ではそれほど変わらなくても、

「抱っこすると少し軽くなった気がする」

ということがあります。

時々体重を確認しておくことで、変化に気づくきっかけになります。

「いつもの食欲」を知っておきましょう

食欲についても、

いつもの食事量。

食べる速さ。

おかわりを欲しがるか。

など、普段の状態を知っておくと変化へ気づきやすくなります。

「昔からよく食べる子だから」

と思っていても、

最近さらに食欲が増えていないか

という視点で見てみてください。

「いつもの飲水量」を知っておきましょう

普段、

どのくらい水を飲んでいるか。

水皿へ何回くらい行くか。

ということも、身体の状態を見る情報になります。

正確な量を毎日測らなくても、

「最近、水の減り方が早い」

「給水器へ行く回数が増えた」

という気づきでも構いません。

「いつもの尿量」を知っておきましょう

尿量も同じです。

犬なら、

散歩中の排尿回数。

一回の尿量。

猫なら、

猫砂にできる尿の塊。

トイレへ行く回数。

などを普段から何となく知っておくと、

「最近増えた気がする」

という変化へ気づきやすくなります。

毎日一緒にいるからこそ、小さな変化に気づきにくいことがあります

毎日顔を見ていると、

体重が少しずつ減る。

水を飲む量が少しずつ増える。

尿量が少しずつ増える。

という変化は、意外と分かりにくいものです。

ですが、

「そういえば最近、お水を飲む回数が増えた」

「ご飯は食べているのに、抱っこすると軽くなった気がする」

という小さな気づきが、病気を見つけるきっかけになることがあります。

食べているのに痩せる時は一度獣医師へ相談してください

犬や猫が食べているのに痩せている場合には、

「食べているから大丈夫」

と判断せず、一度かかりつけの動物病院へ相談してください。

特に、

よく食べる

よく水を飲む

尿が増える

体重が減る

という変化が重なっている場合には、早めに検査を受けることをおすすめします。

小さな「いつもと違う」が病気を見つけるきっかけになります

犬や猫は、

「最近、身体がおかしい」

「喉がすごく渇く」

「食べているのに痩せてきた」

と話すことはできません。

だからこそ、

普段の体重。

普段の食欲。

普段の飲水量。

普段の尿量。

を知っておくことが大切です。

そして、

「いつもと少し違う」

という変化に気づいた時には、

「年齢のせいかな」

「食べているから大丈夫かな」

だけで終わらせず、獣医師へ相談してください。

大切な犬や猫の小さな変化に気づくこと。

そして、気になることがあれば早めに相談すること。

それが、病気の早期発見につながることがあります。

このブログが、大切な愛犬・愛猫の変化に気づくきっかけになればと思っています。


※この記事は、犬猫の糖尿病や「食べているのに痩せる」「水をよく飲む」などの変化について一般的な情報をお伝えするものです。体重減少や多飲多尿は糖尿病以外の病気でもみられることがあります。気になる変化がある場合には、自己判断せず動物病院へご相談ください。

獣医師 かわの わいちろう

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