「犬猫の往診をお願いしたら、自宅でどこまで診てもらえるの?」
「往診は、先生が来て様子を見てもらうだけ?」
「検査や治療が必要になったら、結局動物病院へ行かないといけないの?」
犬猫の往診を初めて検討している飼い主さんにとって、**「自宅で何ができるのか」**は気になるところだと思います。
往診では、獣医師が犬や猫の暮らしているご自宅へ伺い、状態を確認します。
そして、その子の状態や必要性、ご自宅で使用できる設備などに応じて、診察だけでなく検査や治療を行える場合があります。
一方で、動物病院とご自宅では設備が異なるため、すべての検査や治療を往診で行えるわけではありません。
今回は、
- 往診ではどのような診察をするのか
- 自宅でも検査はできるのか
- 注射や薬の処方はできるのか
- 健康診断にも利用できるのか
- 在宅療養や緩和ケアでも利用できるのか
- 往診では難しい検査や治療
- 動物病院での診療が適しているケース
について、獣医師の立場から分かりやすくお伝えします。
犬猫の往診では、まずご自宅で状態を確認します
往診では、獣医師が飼い主さんのご自宅へ伺い、犬や猫の状態を確認します。
一般的な診察と同じように、
- 視診
- 聴診
- 触診
- 検温
などの身体検査を行いながら、その子の状態を確認していきます。
そして飼い主さんから、
「いつ頃から症状があるのか」
「食欲や飲水量は変わっていないか」
「嘔吐や下痢はないか」
「排尿や排便はできているか」
「普段と比べてどのような変化があるのか」
などを伺います。
診察によって、
今どのような状態なのか。
ご自宅でできる治療があるのか。
さらに詳しい検査が必要なのか。
動物病院での診療が適しているのか。
といったことを考えていきます。
「往診だから簡単に様子を見るだけ」というわけではありません。
まずその子を診察し、必要な対応を考えることが往診でも基本になります。
自宅という環境だから分かることもあります
往診には、動物病院とは違った特徴もあります。
そのひとつが、犬や猫が実際に生活している環境を獣医師が確認できることです。
たとえば、
普段どのような寝床で過ごしているのか。
食事や水はどこでとっているのか。
トイレまで自分で移動できているのか。
床が滑りやすくなっていないか。
寝たきりの子をどのような場所で介護しているのか。
こうしたことは、ご自宅だからこそ確認しやすい情報です。
特に高齢の犬猫や在宅療養をしている子では、病気そのものだけではなく、**「毎日の生活をどう過ごしているか」**が大切になることがあります。
診察とあわせて実際の生活環境を確認できることは、往診ならではの特徴のひとつです。
往診でも検査ができる場合があります
「往診では検査はできないの?」
と思われる方もいらっしゃるかもしれません。
往診でも、獣医師が持参できる機器やその子の状態によっては、検査を行える場合があります。
福岡犬猫往診クリニックでは、必要に応じて超音波検査などを行うことがあります。
超音波検査では、機器を使って体の内部を確認します。
ただし、
「往診ならどんな検査でもできる」というわけではありません。
どのような検査が必要なのかは、症状や診察結果によって異なります。
また、使用できる設備にも限りがあります。
まず診察を行い、
「ご自宅でできる検査で状態を確認できるのか」
「設備の整った動物病院で、より詳しい検査を行う必要があるのか」
を判断していきます。
注射などの治療や、お薬の処方ができることもあります
診察の結果、必要に応じて、ご自宅で注射などの治療を行ったり、お薬を処方したりできる場合があります。
ただし、どのような治療ができるかは、
- 犬猫の状態
- 病気の種類
- 必要となる処置
- ご自宅で安全に実施できるか
などによって変わります。
大切なのは、
「往診で何ができるか」だけで治療方法を決めるのではなく、その子に必要な治療を考えることです。
往診で対応できる場合にはご自宅で治療を行い、より高度な処置や設備が必要な場合には動物病院での診療を検討します。
病気の診察だけでなく、健康診断を相談できる場合もあります
往診は、
「病気になった子」
「寝たきりになった子」
だけが利用するものではありません。
健康診断について相談できる場合もあります。
たとえば、
「高齢になって病院への移動が負担になってきた」
「猫がキャリーケースや動物病院をとても怖がる」
「大型犬なので、以前より車への乗り降りが大変になった」
といった事情から、健康状態を一度自宅で確認してほしいというご相談もあります。
ただし、健康診断の内容によっては、動物病院の設備を使用した検査が必要になることがあります。
そのため、
往診だけですべての健康診断を完結できるとは限りません。
何を確認したいのか、その子の年齢や健康状態などを踏まえて、必要な検査を考えることが大切です。
高齢犬・高齢猫の在宅療養でも往診が利用されます
往診を利用する理由として多いもののひとつが、高齢になった犬猫の通院負担です。
年齢を重ねると、
以前は問題なくできていた車への乗り降りが難しくなる。
病院までの移動だけで疲れてしまう。
大型犬を家族だけで抱えて移動することが難しくなる。
待合室で長く待つことが負担になる。
といったことがあります。
猫の場合も、キャリーケースに入ることや車での移動、知らない場所へ行くことに強いストレスを感じる子がいます。
そのような場合に、
「獣医師に来てもらう」
という方法が選択肢になることがあります。
緩和ケアについて相談できることもあります
病気の治療を続けている犬猫の中には、
「できるだけ自宅で過ごさせてあげたい」
「通院による負担を少なくしてあげたい」
「治すことだけではなく、つらさを和らげることも大切にしたい」
と考える時期を迎える子もいます。
そのような場合に、往診で在宅療養や緩和ケアについて相談できることがあります。
緩和ケアでは、病気を治すことだけを目的とするのではなく、
痛みや苦しさをできるだけ軽くすること。
食事や水分について考えること。
寝床や体勢を工夫すること。
排泄や介護について考えること。
など、その子が少しでも穏やかに過ごせる方法を考えていくことも大切です。
また、ご家族が介護について困っていることや、不安に感じていることについて相談することも、在宅療養では重要だと私は考えています。
往診ではできないこともあります
ここは、往診を検討するうえでとても大切なところです。
往診ではさまざまな診察や治療を行える場合がありますが、動物病院とまったく同じことができるわけではありません。
動物病院には、
レントゲン設備や各種検査機器、手術設備、酸素管理の設備、入院施設などがあります。
これらの設備が必要となる検査や処置は、ご自宅では行えない場合があります。
そのため、往診で診察した結果、
「動物病院で詳しい検査をした方がよい」
「すぐに設備のある病院で治療をした方がよい」
と判断することもあります。
往診は動物病院の代わりになるものではなく、
往診と動物病院、それぞれの特徴を生かして利用するもの
と考えていただくと分かりやすいと思います。
往診より動物病院での診療が適していることもあります
「通院が大変だから、どんな状態でも往診の方がいい」
というわけではありません。
たとえば、
- 呼吸が非常に苦しそう
- 意識がない、または反応がおかしい
- けいれんが続いている
- 大量に出血している
- 事故や大きな外傷がある
- 急激に状態が悪化している
など、緊急性が高い場合には、検査や処置をすぐに行える動物病院の方が適していることがあります。
緊急時には時間がとても大切です。
「往診をお願いした方がいいのか、それともすぐ病院へ行った方がいいのか」
と迷った場合には、まず動物病院や往診を行っている獣医師へ状況を伝え、適切な受診方法を確認してください。
往診と動物病院を使い分けるという考え方
往診を利用するからといって、
「今まで通っていた動物病院へ行ってはいけない」
ということではありません。
むしろ、
日常的な状態確認や通院が難しいときは往診。
詳しい検査や設備を必要とするときは動物病院。
というように、それぞれを使い分ける方法もあります。
長く通っているかかりつけの動物病院には、それまでの病歴や検査結果、治療経過など大切な情報が残っています。
往診を利用するときにも、
- 過去の検査結果
- 現在飲んでいる薬
- 診断されている病気
- これまで行った治療
などが分かる資料があれば、獣医師へ伝えてください。
その子の状態を理解するための大切な情報になります。
往診をお願いするときに伝えておくとよいこと
往診を相談する際には、できる範囲で次のような情報を伝えておくと、状況を把握しやすくなります。
- 犬・猫の年齢
- 現在の症状
- 症状が始まった時期
- 食欲や飲水の状態
- 排尿・排便の状態
- 自分で立ったり歩いたりできるか
- 持病
- 現在飲んでいる薬
- これまで受けた検査や治療
すべてをうまく説明する必要はありません。
「いつもと比べてここが違う」
という飼い主さんの気づきも、大切な情報です。
また、過去の検査結果やお薬の袋、診療明細などが手元にある場合には、往診時に確認できるよう準備しておくとよいでしょう。
「往診で何ができる?」を知っておくと選択肢が増えます
犬や猫が高齢になったり、病気になったりすると、
「病院へ連れて行くことが難しいから、もう診てもらえないのでは」
と不安になることがあります。
ですが、通院が難しくなったときにも、往診という選択肢があります。
一方で、往診ですべての検査や治療ができるわけではありません。
大切なのは、
「往診か、動物病院か」のどちらか一方を選ぶことではなく、その子の状態に合わせて適切な診療方法を選ぶことです。
自宅で診察することがその子の負担を減らせる場合もあります。
設備の整った動物病院で検査や治療を受けることが必要な場合もあります。
それぞれの良さを理解したうえで、大切なわが子に合った方法を考えていただけたらと思います。
福岡市で犬猫の往診をご検討の方へ
福岡犬猫往診クリニックでは、福岡市を中心に犬猫の往診を行っています。
ご自宅での診察のほか、その子の状態や必要性に応じて、可能な範囲で検査や治療を行っています。
「今の状態でも往診をお願いできる?」
「自宅ではどこまで診てもらえる?」
と迷われている場合には、往診専用LINEからご相談いただけます。
▼往診についてのご相談はこちら
https://lin.ee/P5x6bjfZ
往診で対応できる内容は、犬猫の状態によって異なります。詳しい検査や設備を必要とする処置については、動物病院での診療をご案内する場合があります。
福岡犬猫往診クリニック
獣医師 かわの わいちろう
※この記事は、犬猫の往診について一般的な情報をお伝えするものです。実際に往診で行える診察・検査・治療は、獣医師・往診施設の設備、犬猫の状態などによって異なります。緊急性が高い症状がみられる場合は、設備の整った動物病院への受診が必要になることがあります。
