「フレンチブルドッグだから、ガーガー呼吸するのは普通ですよね?」
「寝ている時のいびきが大きいけれど、この犬種なら仕方ないのかな?」
「散歩へ行くとすぐ息が上がるけれど、昔からこうだから大丈夫?」
フレンチブルドッグやパグなど、鼻の短い犬と暮らしていると、
ガーガー。
ゼーゼー。
という呼吸音を聞くことがあると思います。
小さい頃から同じような呼吸をしていると、
「この子にとっては普通のこと」
「短頭種だから仕方ない」
と思ってしまうこともあるかもしれません。
ですが実は、
呼吸の音が大きい。
息が苦しそう。
少し動いただけで息が上がる。
といった様子に、
短頭種気道閉塞症候群(BOAS)
が関係していることがあります。
短頭種だからガーガー呼吸するのは当たり前。
そう決めつけるのではなく、
その子が本当に楽に呼吸できているのか
という視点で見てあげることが大切です。
今回は、
- 短頭種気道閉塞症候群(BOAS)とは
- どのような犬種で起こりやすいのか
- 短頭種で呼吸がしづらくなる理由
- ガーガー・ゼーゼー呼吸について
- 大きないびきについて
- 散歩ですぐ休みたがる時
- 興奮すると呼吸が苦しそうになる時
- 食事や水のあとにむせる時
- 暑さ・湿度への注意
- 体重管理が大切な理由
- 症状が軽い場合にできること
- 動物病院で確認すること
- 手術が検討される場合
- すぐ動物病院へ相談したい呼吸
について、獣医師の立場からお伝えします。
- 短頭種気道閉塞症候群(BOAS)とは?
- なぜ短頭種は呼吸がしづらくなるの?
- 「ガーガー・ゼーゼー」は短頭種だから普通?
- 大きないびきも確認してみてください
- 少し動いただけで息が上がっていませんか?
- 散歩ですぐ休みたがる時にも呼吸を見てください
- 興奮すると呼吸が苦しそうになっていませんか?
- 食事や水のあとにむせることもあります
- 「いつもの呼吸」に症状が隠れていることがあります
- 短頭種は「暑さ」に注意してください
- 湿度が高い時にも注意が必要です
- 「秋になったから大丈夫」と油断しないでください
- 暑い時間帯の散歩を避けましょう
- 室温・湿度を確認しましょう
- 激しい運動を控えることも大切です
- 興奮させすぎないようにしましょう
- 短頭種では体重管理も大切です
- 「少しくらいぽっちゃり」が負担になる場合があります
- 「短頭種だから仕方ない」と決めつけないでください
- 動物病院ではどんなところを確認するの?
- 症状が軽い場合にできること
- 首輪ではなくハーネスを使う方法もあります
- 症状によっては手術が検討されることもあります
- こんな呼吸はすぐ動物病院へ
- 呼吸が明らかに苦しそうな時
- 口を大きく開けて呼吸している時
- 舌や歯ぐきが青紫色の時
- ふらついている時
- 愛犬の「普段の呼吸」を知っておきましょう
- 「この子の普通」と決めつけないことが大切です
短頭種気道閉塞症候群(BOAS)とは?
短頭種気道閉塞症候群は、
「BOAS」
とも呼ばれます。
フレンチブルドッグ。
パグ。
イングリッシュブルドッグ。
ボストンテリア。
など、
鼻や口の構造が短い犬種で起こりやすい呼吸器の問題
です。
短頭種では、空気の通り道が狭くなっていることがあります。
そのため、
私たちから見ると普通に呼吸しているように見えていても、
呼吸をすること自体が犬にとって負担になっている場合があります。
なぜ短頭種は呼吸がしづらくなるの?
短頭種では、
- 鼻の穴が狭い
- 軟口蓋が長い
- 気管が細い
- 喉の組織が気道を狭くする
など、
空気の通り道が狭くなっていることがあります。
犬は鼻や口から空気を取り込み、呼吸をしています。
ですが、その空気の通り道が狭ければ、
呼吸をするために、より大きな負担がかかることがあります。
その結果、
ガーガー。
ゼーゼー。
という呼吸音が聞こえたり、
少し動いただけで息が上がったりすることがあります。
「ガーガー・ゼーゼー」は短頭種だから普通?
短頭種と長く暮らしていると、
ガーガー。
ゼーゼー。
という呼吸音が日常の一部になっていることがあります。
小さい頃から同じ音を聞いていれば、
「この犬種はこういう呼吸をするんだ」
と思うのも自然なことだと思います。
ですが、
「昔からしている呼吸だから問題ない」とは限りません。
短頭種気道閉塞症候群によって空気の通り道が狭くなり、
その子が一生懸命空気を吸おうとしている可能性があります。
毎日聞いている音だからこそ、
一度、
「この呼吸は本当に楽なのかな?」
という視点で見てみてください。
大きないびきも確認してみてください
短頭種では、
いびきが大きい
ということもあります。
「この子はいびきをかく犬だから」
と普段は気にしていないかもしれません。
ですが、
大きないびきも、
空気の通り道が狭くなっていることと関係している場合があります。
寝ている時だけだから問題ない。
短頭種だから当たり前。
と決めつけるのではなく、
普段どのような呼吸をしているのかを時々確認してみてください。
少し動いただけで息が上がっていませんか?
愛犬と散歩をしている時、
ほかの犬と比べる必要はありません。
大切なのは、
その子自身がどのくらい動けているか
を見ることです。
少し歩いただけで息が上がる。
すぐに休みたがる。
歩くのを嫌がる。
という様子がある場合には、
呼吸に負担がかかっている可能性があります。
「もともと散歩が好きではないから」
「この犬種は運動が苦手だから」
だけで考えず、
呼吸の状態も一緒に見てあげてください。
散歩ですぐ休みたがる時にも呼吸を見てください
散歩中に、
すぐ立ち止まる。
座り込む。
歩きたがらなくなる。
という場合、
単純に疲れていることもあると思います。
ですが、
同時に呼吸が速くなっている。
ガーガーという音が強くなっている。
息が苦しそうに見える。
という場合には、
呼吸への負担が大きくなっていないか
という視点も大切です。
いつもどのくらい歩けるのか。
どのくらい動くと息が上がるのか。
普段から知っておくと、変化にも気づきやすくなります。
興奮すると呼吸が苦しそうになっていませんか?
短頭種では、
興奮すると呼吸が苦しそうになる
ことがあります。
嬉しくて走り回った時。
来客があった時。
遊んで興奮した時。
など、
呼吸が普段より大きく変化していないか見てみてください。
興奮によって呼吸への負担が大きくなることがあります。
そのため、
愛犬が興奮している時ほど、
「楽しそうだから大丈夫」
だけではなく、
呼吸は苦しそうではないか
ということも見てあげてください。
食事や水のあとにむせることもあります
短頭種気道閉塞症候群でみられることがある変化として、
食事や水のあとにむせる
ことがあります。
ご飯を食べたあと。
水を飲んだあと。
に、
いつもむせる。
呼吸の様子が変わる。
という場合には、そのことも獣医師へ伝えてください。
日常生活の中で起きていることだからこそ、
「いつものこと」
として見過ごしやすい変化でもあります。
「いつもの呼吸」に症状が隠れていることがあります
今回、特に知っておいていただきたいことです。
短頭種と暮らしていると、
ガーガー呼吸。
大きないびき。
散歩ですぐ休む。
興奮すると息が上がる。
といった様子を、
「この子は昔からこうだから」
と考えてしまうことがあります。
ですが、
毎日見ている「いつもの呼吸」の中に、
呼吸のしづらさが隠れている場合があります。
だからこそ、
犬種だけで判断するのではなく、
その子自身がどのくらい楽に呼吸できているのか
を見ることが大切です。
短頭種は「暑さ」に注意してください
短頭種と暮らしている場合、
特に注意していただきたいのが暑さです。
犬は、
パンティング
によって身体の熱を逃がします。
ですが短頭種では、効率よく呼吸しにくいことがあります。
そのため、
暑い環境では呼吸への負担がさらに大きくなることがあります。
湿度が高い時にも注意が必要です
注意したいのは、気温だけではありません。
湿度
も大切です。
暑く、さらに湿度が高い環境では、
短頭種の呼吸への負担が大きくなることがあります。
そのため、
外の気温だけを見るのではなく、
室温や湿度も確認すること
が大切です。
「秋になったから大丈夫」と油断しないでください
秋になると、
真夏ほど暑くない。
朝晩は涼しくなった。
という日が増えてきます。
ですが、日中にはまだ暑い日があります。
そのため、
「もう秋だから大丈夫」
と油断しないようにしてください。
日中の気温や湿度を確認しながら、愛犬の呼吸に負担がかかりにくい環境をつくってあげてください。
暑い時間帯の散歩を避けましょう
短頭種では、
暑い時間帯の散歩を避けること
も大切です。
散歩へ行く時間を決める時には、
いつもの時間だから。
飼い主さんの予定が空いているから。
だけではなく、
その日の暑さも確認してみてください。
そして散歩中も、
呼吸が普段より苦しそうではないか。
息が上がりすぎていないか。
すぐ休みたがっていないか。
ということを見てあげてください。
室温・湿度を確認しましょう
室内にいるから安心とは限りません。
短頭種では、
室温と湿度を確認すること
も大切です。
犬が過ごしている部屋が、
暑くなりすぎていないか。
湿度が高くなりすぎていないか。
を確認してください。
私たちが過ごせる環境でも、その子にとっては呼吸への負担が大きい場合があります。
激しい運動を控えることも大切です
短頭種では、
激しい運動を控えること
も呼吸への負担を減らす方法の一つです。
運動そのものが悪いということではありません。
大切なのは、
その子の呼吸を見ながら過ごすことです。
息が上がっているのにさらに運動を続ける。
苦しそうなのに無理をさせる。
ということは避けてください。
興奮させすぎないようにしましょう
遊びが大好きな犬や、人が大好きな犬では、
嬉しくなると興奮してしまうことがあります。
ですが短頭種では、
興奮によって呼吸への負担が大きくなることがあります。
そのため、
興奮させすぎないこと
も大切です。
愛犬が楽しんでいる時にも、時々呼吸を見てあげてください。
短頭種では体重管理も大切です
短頭種の呼吸を考える時に、
もう一つ大切なのが体重管理です。
体重が増えることで、
呼吸への負担が大きくなることがあります。
飼い主さんから見ると、
「少しぽっちゃりしているだけ」
と思う体型でも、
呼吸のしづらさにつながる場合があります。
「少しくらいぽっちゃり」が負担になる場合があります
毎日一緒に暮らしていると、
少しずつ体重が増えていても気づきにくいことがあります。
また、
「このくらいならかわいい」
と思うこともあると思います。
ですが短頭種では、
適正体重を保つことも呼吸を管理するための大切なポイント
です。
呼吸の状態だけではなく、
体重についても時々確認してあげてください。
「短頭種だから仕方ない」と決めつけないでください
短頭種気道閉塞症候群について、
今回最もお伝えしたいことの一つです。
ガーガー呼吸。
いびき。
息が上がりやすい。
散歩ですぐ休む。
という状態を、
「そういう犬種だから仕方ない」
と決めつけないでください。
その子が、
どのくらい呼吸しづらい状態なのか。
どの程度負担がかかっているのか。
一度評価してもらうことも大切です。
動物病院ではどんなところを確認するの?
動物病院では、
鼻の穴や呼吸の状態
を確認します。
そして必要に応じて、
喉や気管など
についても詳しく調べます。
短頭種気道閉塞症候群では、
鼻の穴が狭い。
軟口蓋が長い。
気管が細い。
喉の組織が気道を狭くする。
といった問題が関係していることがあります。
だからこそ、
「ガーガーしている」という音だけではなく、
その子の呼吸全体を確認すること
が大切です。
症状が軽い場合にできること
症状が軽い場合には、
生活環境を整えることで負担を減らしていきます。
たとえば、
- 適正体重を維持する
- 暑さを避ける
- 湿度が高い環境を避ける
- 激しい運動を控える
- 首輪ではなくハーネスを使う
といった方法です。
毎日の生活の中でできることから、その子の呼吸への負担を減らしていきます。
首輪ではなくハーネスを使う方法もあります
症状が軽い場合にできる工夫の一つとして、
首輪ではなくハーネスを使う
という方法があります。
普段のお散歩で毎日使用するものだからこそ、
愛犬の呼吸への負担を考えながら選ぶことも大切です。
症状によっては手術が検討されることもあります
短頭種気道閉塞症候群では、
生活環境の管理だけではなく、
症状によっては手術が検討されることもあります。
すべての短頭種が手術になるという意味ではありません。
その子がどの程度呼吸しづらい状態なのかを確認しながら考えていきます。
「短頭種だからこの呼吸は仕方ない」
と最初から決めてしまわず、一度状態を確認してもらうことが大切です。
こんな呼吸はすぐ動物病院へ
短頭種の犬で、
- 呼吸が明らかに苦しそう
- 口を大きく開けて呼吸している
- 舌や歯ぐきが青紫色になっている
- ふらついている
といった様子がみられる場合には、
緊急性があります。
「短頭種だからいつものこと」
と様子を見続けないでください。
すぐに動物病院へ連絡してください。
呼吸が明らかに苦しそうな時
いつものガーガー呼吸とは明らかに違う。
呼吸をするたびに苦しそう。
という場合には注意してください。
毎日見ている飼い主さんだからこそ、
「今日はいつもと違う」
という変化に気づけることがあります。
その感覚を大切にしてください。
口を大きく開けて呼吸している時
短頭種の犬が、
口を大きく開けて苦しそうに呼吸している
場合にも、すぐに動物病院へ連絡してください。
「暑いからハァハァしているだけかな」
と決めつけず、
その時の呼吸全体を見てください。
舌や歯ぐきが青紫色の時
特に注意していただきたいのが、
舌や歯ぐきが青紫色になっている
場合です。
普段と色が明らかに違う場合には、緊急性があります。
様子を見続けず、すぐに動物病院へ連絡してください。
ふらついている時
呼吸の変化に加えて、
ふらつき
がみられる場合にも注意してください。
いつもの呼吸だから。
少し休めば戻るかもしれない。
と長く様子を見ないことが大切です。
愛犬の「普段の呼吸」を知っておきましょう
短頭種と暮らしている飼い主さんには、
ぜひ愛犬の普段の呼吸を知っておいていただきたいと思います。
普段どんな音で呼吸しているのか。
散歩ではどのくらい歩けているのか。
興奮した時にどのくらい息が上がるのか。
いびきはどのくらいなのか。
食事や水のあとにむせていないか。
日頃の状態を知っているからこそ、
「今日はいつもと違う」
と気づくことができます。
「この子の普通」と決めつけないことが大切です
フレンチブルドッグ。
パグ。
イングリッシュブルドッグ。
ボストンテリア。
などの短頭種では、
ガーガー。
ゼーゼー。
という呼吸を耳にすることがあります。
そして、それが毎日のことになると、
「これがこの子の普通」
と思ってしまうことがあります。
ですが、
その呼吸は、
実は愛犬が一生懸命空気を吸おうとしている状態かもしれません。
だからこそ、
「短頭種だから」
だけで判断しないこと。
普段どんな呼吸をしているのか。
散歩ではどのくらい歩けているのか。
興奮した時に苦しそうではないか。
時々、愛犬の様子を見てあげてください。
暑さ。
湿度。
運動。
興奮。
体重。
といった毎日の生活環境を整えることで、呼吸への負担を減らせることもあります。
そして、
明らかに呼吸が苦しそう。
口を大きく開けて呼吸している。
舌や歯ぐきが青紫色になっている。
ふらついている。
という場合には、
「いつもの呼吸だから」
と様子を見続けず、すぐに動物病院へ連絡してください。
呼吸の小さな変化に気づくことが、大切な子を守ることにつながると私は思っています。
※この記事は、犬の短頭種気道閉塞症候群(BOAS)について一般的な情報をお伝えするものです。呼吸が明らかに苦しそう、口を大きく開けて呼吸している、舌や歯ぐきが青紫色になっている、ふらついているといった様子がある場合には、「短頭種だからいつものこと」と判断せず、すぐに動物病院へご相談ください。
獣医師 かわの わいちろう
