「心臓が悪くなると、脈は速くなる」
そんなイメージを持っている飼い主さんも多いのではないでしょうか。
確かに、心臓の病気などで心拍数が速くなることがあります。
ですが反対に、
「脈が遅くなる」ことが問題になる場合もあります。
いつもより元気がない。
最近、疲れやすくなった。
歩いている時にふらつく。
突然倒れたことがある。
このような変化がある時には、
心拍数が必要以上に遅くなっていないか
ということも確認したいポイントの一つです。
犬の脈が遅くなる状態を「徐脈」といいます。
ただし、
脈が遅い=必ず心臓病
というわけではありません。
心臓以外の原因が関係している場合もあります。
今回は、
- 犬の「徐脈」とは
- なぜ脈が遅くなるのか
- 徐脈性の不整脈について
- 心臓以外で脈が遅くなる原因
- 脈が遅くなりすぎた時にみられる症状
- ふらつきや突然倒れる症状との関係
- 「脈が遅い=心臓病」とは限らない理由
- 原因を確認することが大切な理由
- 飼い主さんに気づいてほしい変化
について、獣医師の立場からお伝えします。
- 犬の「徐脈」とは?
- 心臓は一定のリズムで動いています
- 「心臓の問題=脈が速い」とは限りません
- 脈が遅くなる原因は不整脈だけではありません
- 甲状腺の病気が関係することがあります
- 副腎の病気が関係する場合もあります
- 電解質の異常が関係する場合もあります
- 薬剤の影響で脈が遅くなる場合もあります
- 脈が遅くなりすぎると身体に何が起こる?
- 徐脈で「疲れやすい」ことがあります
- 力が入らないように見えることもあります
- 「ふらつく」は注意したい症状です
- 突然倒れることもあります
- 失神することもあります
- 「最近ふらつくことが増えた」は大切な情報です
- 「突然倒れた」はその後元気でも相談してください
- 「脈が遅い=心臓病」ではありません
- 大切なのは「その子に何が起きているか」です
- 「いつもより元気がない」も大切な変化です
- 「最近疲れやすい」も見逃さないでください
- 原因を確認することが大切です
- 病名を飼い主さんが判断する必要はありません
- 心拍数は「速すぎる」だけでなく「遅すぎる」ことも問題になります
- 愛犬の「いつもと違う」に気づいてください
犬の「徐脈」とは?
心臓は、電気信号によって一定のリズムで動いています。
その電気信号によって心臓が動き、血液を全身へ送り出しています。
ところが、
電気信号を作る部分。
電気信号を伝える部分。
などに異常が起こると、心拍数が必要以上に遅くなることがあります。
このような状態が、
「徐脈性の不整脈」
です。
心臓の問題というと、
「脈が速くなる」
というイメージを持つことが多いかもしれません。
ですが、
心拍数が遅くなることも、身体の状態に影響する場合があります。
心臓は一定のリズムで動いています
普段、犬の心臓が動いていることを強く意識することはあまりないと思います。
ですが心臓は、身体の中で絶えず動き続けています。
そして、その動きを支えているのが電気信号です。
この仕組みに問題が起こることで、
心臓が動く回数が必要以上に少なくなることがあります。
つまり徐脈は、
単純に「ゆっくり脈を打っている」というだけではなく、
身体へ血液を送り出す心臓の働きにも関係することがある変化
です。
「心臓の問題=脈が速い」とは限りません
飼い主さんからすると、
心臓に問題がある。
↓
ドキドキして脈が速くなる。
というイメージがあるかもしれません。
ですが、
心臓の状態によっては反対に、
脈が必要以上に遅くなることがあります。
そのため、
「脈が速くないから、心臓とは関係ない」
と判断することはできません。
速すぎる脈だけではなく、
遅すぎる脈も身体へ影響することがある
ということを知っておいてください。
脈が遅くなる原因は不整脈だけではありません
ここで大切なのは、
徐脈の原因は、不整脈だけではない
ということです。
犬の脈が遅くなる背景には、心臓以外の問題が関係している場合もあります。
たとえば、
- 甲状腺の病気
- 副腎の病気
- 電解質の異常
- 薬剤の影響
などです。
つまり、
「脈が遅い」
という一つの変化だけを見て、
「この犬は心臓病だ」
と判断することはできません。
甲状腺の病気が関係することがあります
脈が遅くなる原因として、
甲状腺の病気
が関係している場合があります。
そのため、
脈の変化があったからといって、心臓だけを確認すればよいとは限りません。
その子にどのような症状が出ているのか。
ほかに身体の変化がないか。
ということも含めて確認していくことが大切です。
副腎の病気が関係する場合もあります
犬の脈が遅くなる背景には、
副腎の病気
が関係している場合もあります。
このように徐脈には、心臓以外の病気が関係することがあります。
だからこそ、
「脈が遅い」
という結果だけで原因を決めるのではなく、
身体全体を見ながら原因を考える必要があります。
電解質の異常が関係する場合もあります
脈が遅くなる原因の一つとして、
電解質の異常
が関係することもあります。
これも、脈の速さだけを見て病気を判断できない理由の一つです。
心臓に問題があるのか。
それとも心臓以外の原因なのか。
その子の症状や状態を含めて確認していきます。
薬剤の影響で脈が遅くなる場合もあります
犬が使用している薬剤の影響によって、脈が遅くなる場合もあります。
そのため、気になる変化がある時には、
現在どのような薬を使用しているのか
という情報も大切になります。
脈が遅い原因は一つではありません。
だからこそ、
一つの症状や一つの変化だけで判断しないことが重要です。
脈が遅くなりすぎると身体に何が起こる?
心拍数が必要以上に遅くなると、
全身へ送り出される血液が少なくなることがあります。
心臓は、血液を全身へ送り出す役割を担っています。
そのため、心拍数が必要以上に遅くなり、十分な血液を送り出せなくなると、身体にさまざまな変化が現れることがあります。
徐脈で「疲れやすい」ことがあります
徐脈によってみられることがある変化の一つが、
疲れやすさ
です。
以前は普通に動いていたのに、
最近すぐ休むようになった。
いつもより動きたがらない。
なんとなく疲れやすそう。
という変化がみられることがあります。
毎日一緒に生活していると、少しずつ起こる変化には気づきにくいこともあります。
だからこそ、
「以前と比べてどうか」
という視点で愛犬を見てあげてください。
力が入らないように見えることもあります
心拍数が必要以上に遅くなり、全身へ送り出される血液が少なくなることで、
力が入らない
ように見えることもあります。
いつものように立てない。
なんとなく身体に力が入っていない。
動こうとしても元気がない。
といった様子がある時には注意してください。
もちろん、
力が入らない原因がすべて徐脈というわけではありません。
ですが、
「脈が遅くなることでも、このような変化が起こる場合がある」
ということを知っておいてください。
「ふらつく」は注意したい症状です
徐脈で特に気づいていただきたい変化の一つが、
ふらつき
です。
以前は普通に歩いていた犬が、
最近ふらつくようになった。
歩いている途中で身体が揺れる。
いつもと歩き方が違う。
という変化がある場合には、
「年齢のせいかな」
「少し疲れているだけかな」
と決めつけず、獣医師へ相談してください。
突然倒れることもあります
心拍数が必要以上に遅くなることで、
突然倒れる
という症状につながることがあります。
愛犬が突然倒れたら、とても驚くと思います。
そして、
少しするとまた立ち上がった。
その後は普通に見える。
ということもあるかもしれません。
ですが、
一度元に戻ったからといって、原因がなくなったとは限りません。
突然倒れたという変化そのものを、獣医師へ伝えてください。
失神することもあります
徐脈によって全身へ送られる血液が少なくなると、
失神
につながることもあります。
突然倒れた。
意識を失ったように見えた。
という場合には注意してください。
特に、
「最近ふらつくことが増えた」
「突然倒れたことがある」
という変化は見逃したくない症状です。
「最近ふらつくことが増えた」は大切な情報です
一度だけではなく、
最近ふらつくことが増えている。
という場合には、その変化を獣医師へ伝えてください。
犬は、
「最近身体がおかしい」
「いつもより力が入らない」
と話すことができません。
だからこそ、
歩き方。
元気。
疲れ方。
倒れたことがあるか。
など、飼い主さんが気づいた変化が大切な情報になります。
「突然倒れた」はその後元気でも相談してください
突然倒れたあと、
しばらくすると普通に戻ることがあります。
そうすると、
「もう元気だから大丈夫かな」
と思うかもしれません。
ですが、
突然倒れるという変化があった場合には、
その時の状態を含めて獣医師へ相談してください。
いつ起こったのか。
どのような状況だったのか。
その後どうなったのか。
分かる範囲で伝えることが大切です。
「脈が遅い=心臓病」ではありません
ここは今回、特に知っておいていただきたいことです。
犬の脈が遅いと、
「心臓が悪いのかな?」
と心配になると思います。
もちろん心臓が関係している場合もあります。
ですが、
脈が遅い犬すべてが心臓病というわけではありません。
甲状腺の病気。
副腎の病気。
電解質の異常。
薬剤の影響。
などが関係する場合もあります。
そのため、
脈の速さだけで病気を判断することはできません。
大切なのは「その子に何が起きているか」です
犬の身体を見る時に大切なのは、
一つの数字や一つの変化だけを見ることではありません。
たとえば、
脈が遅い。
という変化があったとしても、
元気はどうなのか。
疲れやすくなっていないか。
力が入りにくくなっていないか。
ふらついていないか。
突然倒れていないか。
といったことも一緒に確認する必要があります。
つまり大切なのは、
「脈が何回だから」ということだけではなく、その子自身にどのような変化が起きているのか
を見ることです。
「いつもより元気がない」も大切な変化です
病気の症状というと、
倒れる。
失神する。
という大きな変化をイメージしやすいと思います。
ですが、
いつもより元気がない。
という変化も大切です。
普段なら喜ぶことに反応しない。
いつもより動こうとしない。
何となく元気がない。
という時には、
ほかに変化がないかも確認してみてください。
「最近疲れやすい」も見逃さないでください
年齢を重ねると、
「歳をとったから疲れやすくなったのかな」
と思うこともあると思います。
ですが、
最近になって急に疲れやすくなった。
以前とは明らかに違う。
という場合には、
年齢だけで考えないことも大切です。
徐脈によって全身へ送られる血液が少なくなることで、疲れやすさにつながる場合もあります。
原因を確認することが大切です
気になる症状がある場合には、
なぜ脈が遅くなっているのか
を確認することが大切です。
徐脈には心臓以外の原因が関係している場合があるため、
心臓だけではなく、
血液検査なども行いながら原因を確認していきます。
脈が遅いという一つの変化だけで判断せず、
その子に起こっている症状や身体の状態を含めて考えていきます。
病名を飼い主さんが判断する必要はありません
「脈が遅いのかな?」
「これは心臓病なのかな?」
と心配になったとしても、
飼い主さん自身が病名を判断する必要はありません。
大切なのは、
いつもとの違いに気づくこと
です。
元気がない。
疲れやすい。
ふらつく。
突然倒れた。
そうした変化があれば、
そのまま獣医師へ伝えてください。
心拍数は「速すぎる」だけでなく「遅すぎる」ことも問題になります
心臓の病気というと、
「脈が速い」
という印象が強いかもしれません。
ですが、
心拍数は速すぎても、遅すぎても問題になることがあります。
脈が必要以上に遅くなることで、身体へ送られる血液が少なくなり、
疲れやすい。
力が入らない。
ふらつく。
突然倒れる。
失神する。
といった症状につながることがあります。
愛犬の「いつもと違う」に気づいてください
愛犬は、
「今日は脈が遅い気がする」
と伝えることはできません。
ですが、
以前より元気がない。
最近疲れやすい。
ふらつくようになった。
突然倒れた。
という形で、身体の変化が現れることがあります。
だからこそ、
毎日一緒にいる飼い主さんが感じる、
「いつもと何か違う」
という気づきは大切です。
「心臓病なら脈は速くなるはず」
と決めつけず、
“脈が遅くなることで体調に影響が出ることもある”
ということを知っておいていただけたらと思います。
そして、
元気がない。
疲れやすくなった。
ふらつく。
突然倒れた。
といった気になる変化がある場合には、獣医師へ相談してください。
大切なのは、
「脈が遅い」という一つの変化だけではなく、
その子全体の状態を見ながら原因を確認すること
です。
※この記事は、犬の徐脈について一般的な情報をお伝えするものです。脈が遅くなる原因には不整脈だけでなく、甲状腺や副腎の病気、電解質異常、薬剤の影響などが関係している場合もあります。元気低下、疲れやすさ、ふらつき、突然倒れる、失神などの変化がある場合には、獣医師へご相談ください。
獣医師 かわの わいちろう
