「涼しくなったのに、散歩へ行ってもすぐ帰りたがる」
「以前より歩くスピードが遅くなった気がする」
「立ち上がるまでに時間がかかるようになった」
シニアの犬でこのような変化があると、
「もう歳だから、あまり歩きたくないのかな」
と思うこともあるかもしれません。
ですが、その変化の背景に関節の痛みが隠れていることがあります。
その原因の一つとして知っておいていただきたいのが、変形性関節症です。
犬の変形性関節症でみられる変化
変形性関節症では、関節の軟骨などが変化し、炎症や痛みによって少しずつ動きづらさが出ることがあります。
犬では、
- 散歩ですぐ帰りたがる
- 歩くスピードが遅くなる
- 立ち上がるまでに時間がかかる
- 階段を嫌がる
- ジャンプをしなくなる
- 足をかばって歩く
といった変化がみられることがあります。
ただし、犬が「関節が痛い」と分かりやすく伝えてくれるとは限りません。
「以前より歩く量が減った」
「寝ている時間が増えた」
「前ほど遊ばなくなった」
という何気ない生活の変化として現れることもあります。
猫にも変形性関節症は起こります
変形性関節症は犬だけのものではありません。
猫では、
- 高い場所へ上らなくなった
- ジャンプする前にためらう
- 階段を使いたがらない
- 毛づくろいが減った
- トイレに入りづらそう
といった変化から気づくことがあります。
「最近ジャンプしなくなった」という変化も、年齢だけが理由とは限りません。
「シニアだから仕方ない」で終わらせないでください
年齢を重ねれば、以前より動きがゆっくりになることはあります。
ですが、
年齢を重ねたことと、痛みがあることは同じではありません。
「もう歳だから」と思っていた変化の中に、関節の痛みが隠れていないか見てあげてください。
若い犬猫でも起こることがあります
変形性関節症は、シニアだけの病気ではありません。
股関節形成不全、膝蓋骨脱臼、靱帯の損傷、過去の骨折など、関節に負担がかかる原因がある場合には、若い頃から起こることもあります。
そのため、
「まだ若いから関節は大丈夫」
とは限りません。
年齢にかかわらず、歩き方や動き方の変化を見てあげることが大切です。
歩き方がおかしいと感じたら動画を撮っておきましょう
気になる動きがある場合には、自宅や散歩中の様子を動画に残しておくのもおすすめです。
動物病院では普段と同じ歩き方をしないこともあります。
診察では歩き方や姿勢を確認したり、関節を触って痛みや動きを調べたり、必要に応じてレントゲン検査などを行います。
普段の様子を記録しておくことで、気になった変化を伝えやすくなります。
毎日の生活環境も見直してみてください
変形性関節症では、痛みへの治療だけではなく、日常生活の環境を整えることも大切です。
- 適正体重を保つ
- 無理のない運動を続ける
- 滑りにくい床にする
- 段差を減らす
- スロープを使う
など、普段過ごしている場所に関節への負担につながるものがないか、一度確認してみてください。
小さな「いつもとの違い」を大切に
涼しくなったのに散歩を嫌がる。
立ち上がるのが遅くなった。
階段を嫌がるようになった。
ジャンプをしなくなった。
そんな変化を、
「もう歳だから」だけで終わらせないでください。
その子が関節の痛みを我慢している可能性もあります。
毎日一緒に過ごしている飼い主さんだからこそ気づける、小さな動きの変化があります。
「以前と少し違うな」
と感じた時には、その変化を大切にしてください。
毎日の何気ない動きに気づいてあげることが、大切な犬や猫が少しでも快適に過ごすことにつながると私は思っています。
獣医師 かわの わいちろう
