シニア期の隠れた痛みに、気付いてあげて

シニア期のケア

「なんだか最近、動きがゆっくり…」と感じたら

「歩くスピードが前より遅くなった気がする」
「呼んでも、すぐに来なくなった」
「寝ている時間が増えたように感じる」

大切な子を見てこのように、思う事はありませんか。

年齢を重ねるにつれて、犬猫の動きや仕草は、少しずつ変わっていきます。
でもその変化が、年齢だけの問題なのか、それとも体からのサインなのか
判断に迷うことも多いのではないでしょうか?

これは年齢のせいなの?それとも、痛いのかな、、、

実は、シニア期の子は
**見た目では分かりにくい「隠れた痛み」**を抱えている子も少なくないんです。


シニア期に増えてくる「目に見えない痛み」

犬や猫も、年齢とともに関節や筋肉、背骨などに負担がかかりやすくなります。
関節のすり減りや、筋力の低下、姿勢の変化などが重なり、
じわじわとした違和感や痛みが出てくることがあるんです。

とくに10歳前後は、
人でいえば50代頃にあたる年齢。

急に何かが起こるというより、
「少しずつ、いつの間にか」
変化が積み重なっていくという時期です。

そのため、
痛みがあっても大きく鳴いたり、はっきりと訴えたりすることは少ない事も多く、
中々気づきにくいことも多いのです。


こんな変化、思い当たることはありませんか

シニア期の痛みは、日常の何気ない行動に表れる事があります。

・階段を避けるようになった
・ソファやベッドに上がらなくなった
・ジャンプをしなくなった
・立ち上がるまでに時間がかかる
・歩き始めがぎこちない
・後ろ足がふらつくことがある
・撫でられるのを嫌がる場所がある

どれも「年のせいかな」と見過ごされがちな変化ではないでしょうか。

しかし、
痛みがあるから動かなくなっている
という可能性も、実は少なくないんです。

大切な子の行動、以前と比べて何か変化はありませんか?
その小さな変化が、痛みのサインかもしれません。


「もう年だから仕方ない」と思ってしまう前に

「もうシニア期だし…」
「年齢的に、こんなものだよね」

実際、年齢を重ねれば、若い頃と同じようにはいかなくなります。
なのでこのように思うのも、自然な事ですよね。

しかし、ここで気を付けて頂きたいのが、
年齢による変化と、痛みによる変化は、重なって見える事がある点なんです。

年齢のせいだと思っていたけれど、本当は、
「痛みさえ和らげば、もう少し楽に動ける」
そんな状態の子も、実はいるのです。


痛みを和らげることで、動ける喜びが戻ることも

近年では、
シニア期の関節や慢性的な痛みに配慮した、ケアの選択肢も増えてきました。

例えば、
月に1回の注射で使える痛みのケアや、
体への負担を抑えたお薬などもあります。

もちろん、すべての子に合うわけではありませんし、
症状や体調に合わせて慎重に考える必要があります。

ただ、
痛みが和らぐことで

・自分で歩こうとする
・動く量が少し増える
・表情がやわらぐ

このように前向きな変化が見られることも多くあるんです。

動きたい気持ちはあるのに、体が痛くて動けない、、、
でも痛みが和らげば「動けるようになる」

大切な子の痛みが和らぎ、動けるようになると、嬉しいですよね。


動けることが、いちばんのリハビリになる

痛みがあると、
どうしても体を動かす回数が減ってしまいます。

動かない時間が増えると
・筋肉が落ちやすくなる
・関節が固まりやすくなる
・さらに動きにくくなる

という悪循環につながることも、少なくありません。

一方で、
無理のない範囲で動ける状態を保てると、それ自体がリハビリになります。

・ゆっくりでも
・自分の足で立つ
・自分の意思で歩く

その積み重ねが、
筋力や関節の柔軟性を守る助けになるのです。

大切なのは、動く量を増やすというよりは、
「犬猫ちゃん達の意志で動きたいと思ってもらう」という事だと考えています。


「痛くなかったら、こんなに動けるんだね」

実際に、
痛みのケアを始めてから

「こんなに歩くようになるとは思わなかった」
「また散歩を楽しめるようになった」
「表情が明るくなった気がする」

と感じる飼い主さんも、少なくありません。

もちろん、
すべてのケースで同じような変化があるわけではありません。
個人差はあります。

それでも、
痛みがあるかもしれない、という視点を持つことは、
大切な子の暮らしを見直す大切なきっかけに、なるのではないでしょうか。


痛みのケアは「元気にさせる」ためだけじゃない

痛みのケアというと…
「無理に元気にさせるためのもの」
と感じる方もいるかもしれません。

しかし本来の目的は、
少しでも楽に、穏やかに過ごせる時間を増やすこと。

今感じている痛みを和らげる事で、生活の質(QOL)を上げる事にも繋がると思っています。

・走れなくてもいい
・若い頃のように戻らなくてもいい

ただ、
・立ち上がる時のつらさが減る
・動くことへの不安が少なくなる

それだけでも、
日々の生活は大きく変わるのでは、ないでしょうか。


「もしかして」と思ったら、相談してみてください

もし今、
「これって年齢だけの問題かな?」
「もしかして、痛みがあるのかも」

このように感じたら、
一度かかりつけの獣医さんに相談してみてください。

検査や触診、日常の様子から、
考えられる原因や選択肢を一緒に考えてもらえると思います。

無理に何かを始めなくても大丈夫。
知ること、話すことも、大切な一歩だと考えています。


シニア期を「穏やかな時間」にするために

シニア期は、
できないことが少しずつ増えていく時期かもしれません。

しかしそれと同時に、
ゆっくりと寄り添う時間が増える、
という、かけがえのない時期でもあると思っています。

楽しい時間はもちろんですが、
「穏やかにお互いを思いやる時間を過ごす」

シニア期だからこそ出来る、ゆったりとした時間も良いですよね。

隠れた痛みに気づき、
少しでも楽に過ごせるように整えてあげることは、
その子の「今」を大切にする選択の一つ。

大切な子が、
自分の足で、そして自分の意志で、自分のペースで過ごせる時間を、
これからも守っていって欲しい。

私の願いです。

福岡犬猫往診クリニック
院長:河野 和一郎(かわの わいちろう)

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