どう治すか、どう生きるか

持病ケア・体調管理

― お口の中の腫瘍と向き合うときに大切なこと ―

ちょっとした変化が、気になったことはありませんか

「最近、食べ方が少し変わった気がする」
「ごはんを口からこぼすようになった」
「片側だけで噛んでいるように見える」

大切な子の食事風景を何気なく見ていると、
このような変化を、ふと感じた事はありませんか?

お口の中は、毎日見ているようですが、
実はじっくり観察する事は少ないのではないでしょうか。

そのため、
違和感に気づいたときには、
すでに何かが起きている!?という可能性もあるんです。

お口の中にできる“できもの”について

犬や猫のお口の中には、
さまざまな「できもの」が見られることがあります。

その中には、
良性のものもあれば、
進行しやすい性質を持つものもあります。

もちろんこれは、
人も同じ事が言えます。

見た目だけでは判断が難しく、
大きさや場所、増え方などもさまざまです。

だからこそ、
「気のせいかな」と様子見をせずに、
獣医師に相談してみませんか?

こんなサインが見られることがあります

大切な子の食事風景、
次のような様子が見られることがありませんか?

・食事に時間がかかる
・片側だけで食べる
・ごはんを残すようになる
・口を気にして前足で触る
・よだれが増えたように感じる

もちろんこれらに、当てはまっても、
必ずしも重い病気を意味するわけではありません。

ただ、大切なのは、、、
「いつもと違う」という異変を感じた時。

いつも一緒に居る飼い主さんだからこそ
気づける、、
「小さな異変」がとても大切だと、考えております。

お口の中の変化は、見えにくいからこそ

実は動物はは、
痛みや違和感があっても、
ぎりぎりまで我慢してしまう子も少なくないんです。

食べることが好きな子ほど、
多少の不調があっても
「食べよう」と頑張ってしまうことがあります。

そのため、
気づいたときには進行していた、
というケースも珍しくないのです。

治療について考えるときの現実

お口の中にできた腫瘍に対して、
一般的に検討される選択肢の一つが
外科的な処置です。

ただし、
それが「すべての子にとって最善かどうか」は、
慎重に考える必要があります。

それは、なぜか?

できた場所や広がり方、
年齢や体調によっては、
体への負担が大きくなることもあるからです。

「手術をすれば安心」
と、単純に言い切れないのが現実です。

外科的な処置をすれば腫瘍は取れる可能性もありますが、
それに伴う体力も必要になります。

その子が抱えている他の持病、
そして体力、これらを全て踏まえて、
外科的処置を現実的に考えていく事が大切だと考えています。

無理をしない、という選択

場合によっては、
無理に処置を行うことで、
体力や免疫力に影響が出ることもあります。

治療を進めることが、
必ずしも、
その子にとって穏やかな時間につながらないこともある、、、

だからこそ、
「本当に今、その子にとって何が必要なのか」
「どのような状況が穏やかに過ごせるか」を
飼い主さんと一緒に考えていきたいと、私は思っているんです。

早く気づけたからこそ、というケースもあります

一方で、
比較的早い段階で異変に気づき、
選択肢が広がったケースもあります。

小さな変化を見逃さなかったことで、
その子にとって負担の少ない方法を
選ぶことができた、このようなケースです。

「早く気づくこと」そのものが、
大切な子をの未来を守る事になる。

だからこそ、気になる事は遠慮せずに
獣医師に相談して欲しいんです。

「治したい」という気持ちと向き合う

大切な子のために、
「治してあげたい」
「元の生活に戻してあげたい」

そう願うのは、とても自然なことだと思っています。

ただ、
病気の性質やその子の体の状態によっては、
治す事が正解だとは限らない、という場合もあるんです。

どう治すか、だけではなく

だからこそ、
「どう治すか」だけでなく、
「どう生きるか」を一緒に考えることが
大切になるのでは、ないでしょうか。

・痛みは少ないか
・食べる楽しみは保てているか
・安心して眠れているか

その子らしい穏やかで幸せな時間を、
どう守っていくのか。

それもまた、
大切な選択のひとつですよね。

飼い主さんが悩むのは、当たり前のこと

迷うこと
悩むこと
決断に時間がかかること

これらを考える時、
時間がかかる事は当たり前の事。

そして「正解」をひとつに決めなくてもいいんです。

だからこそ様々な選択肢を知って欲しい、
たくさんの選択肢の中から、
その子とあなたに合った選択肢を選んで欲しいんです。

一緒に考える、という関係でありたい

私は獣医師として、そして人として、
考えを押し付けたくはない、そう思っています。

あなたと、その子にとっての
「今できる最善」を、
一緒に考え探していきたいと、考えています。

だからどうか、
ひとりで抱え込まないで欲しいんです。

穏やかな時間を守るために

お口の中の変化は、
見つけにくく、判断も難しい場合もあります。

だからこそ、
日々の小さな「気付き」を大切にしながら、
我々、獣医師へ相談をして欲しい。

「どう治すか」
「どう生きるか」

一人で悩みを抱え込まずに、
獣医師に相談をし、様々な選択肢の説明を受けて、
一緒にその子の未来への道を考えていきたい。

私の願いです。

福岡犬猫往診クリニック
院長:河野 和一郎(かわの わいちろう)

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