大切な子の旅立ち、「もう大丈夫」じゃなくていい理由

ペットロス

はじめに:心の動きは、人それぞれでいい

大切な家族を見送ったあと、
「そろそろ泣くのをやめなきゃ」
「しっかりしなきゃいけないのに…」
そんなふうに自分を責めてしまうことはありませんか?

まわりから見える強さや、時間の経過とは関係なく、
気持ちがふと揺れてしまう瞬間が訪れることは自然なことです。

そして、“もう大丈夫”と言えなくても構わないと思います。
その気持ちこそ、あなたが大切な存在を想い続けている証だからです。


心に残る「ぽっかりとした感覚」について

時間が過ぎても、ふとした瞬間に胸の奥がきゅっと締め付けられることがあります。
それは、悲しみが続いているからではなく、
**「大切に想っていた証が、今も心の中にある」**という自然な反応です。

思い出に触れたとき、涙が出たり、温かい気持ちになったり…。
その揺らぎは、前に進めていないから起こるものではありません。

むしろ、あなたがその子と過ごした時間を
丁寧に抱きしめながら生きているということでもあります。


悲しみは“消える”ものではなく、形が変わっていく

「時間が癒してくれる」とよく言われますが、
時間が悲しみを忘れさせてくれるのではなく、
**“悲しみの形が少しずつ変わっていく”**のだと感じる方が多いです。

涙が出る日もあれば、思い出してそっと微笑む日もある。
そのどちらも、あなたがその子と共に生きてきた証です。

無理に前向きになろうとしなくても十分。
ゆっくりと、自然なペースで気持ちは変化していきます。


あの子は消えてしまったわけではない

姿は見えなくても、
暮らしの中には、その子を思い出す瞬間がたくさんあります。

・朝、名前を呼びたくなるとき
・お気に入りの場所を見たとき
・季節の匂いがふとよみがえったとき

そのたびに胸がぎゅっと温かくなるのは、
あなたの心の中に、その子が今も生きているから

思い出は過去ではなく、
今のあなたの一部として、大切に存在し続けます。


涙が出る理由は「悲しさ」だけじゃない

涙には、
「ありがとう」
「もっと一緒にいたかった」
そんな、言葉にできない気持ちが混ざっていることがあります。

泣けるということは、
あなたがその子を想い続けている証です。
涙は弱さではなく、あの子への“深い愛”のひとつの形です。


思い出と共に過ごすということ

写真に声をかけたり、名前を呼んだり、
心の中でその子と話す時間がある人もいます。

それは“過去に戻る”行為ではなく、
心の中にいる存在と丁寧に向き合う、今この瞬間の営みです。

思い出が日常に寄り添ってくれることで、
少しずつ気持ちがやわらぎ、
その子との関係が新しい形へと変わっていくことがあります。


悲しみを受け入れながら進むあなたは、すでに強い

「手放さないと前に進めない」
「きちんとしなきゃ」
そんなふうに感じてしまう方もいます。

けれど、無理に区切りをつける必要はありません。

悲しみや寂しさを抱えながらも、
今日を過ごしているあなたは、それだけで十分に強い人です。
あなたの歩み方で、ゆっくり進んでいけば大丈夫なんです。


“立ち直る”よりも、“寄り添って過ごす”という考え方

あの子を想う気持ちが自然に少しずつ変化していくこと。
その流れを無理なく受け止めながら生きること。

それが、あなたにとっての「前へ進む」ということなのだと思います。

あなたがその子を想い続けている時間は、
その子にとっても誇らしいものだったはず。
大切に想い続けてくれるあなたの存在は、
きっと今も優しい光として寄り添っています。


おわりに:そのままのあなたで大丈夫

泣く日があってもいいし、笑える日があってもいい。
どんな日でも、
あなたはその子との思い出を抱きしめながら、確かに前を向いています。

“もう大丈夫”と言えなくても、
あなたは十分に頑張っています。

そして、
その子は今も、あなたを包むように見守っている――
そんなふうに感じる人は少なくありません。

どうか、今日のあなたが少しでもやわらかい気持ちで過ごせますように。

獣医師かわの わいちろう

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