歯石は放置して大丈夫?腎臓や心臓に影響すると言われる理由と対策

病気の基礎知識・検査ガイド

その歯石、腎臓や心臓に影響することも?知っておきたい口の健康と全身ケア

「歯石がついてきたけど、元気だし大丈夫かな」
「口が少し臭う気がするけど、年齢のせいかも」

そんなふうに感じたことはありませんか?

歯石や歯ぐきのトラブルは、つい“お口の中だけの問題”と思われがちです。
ですが近年、お口の環境が乱れることで、体全体に影響が出る可能性があることも指摘されています。

もちろん、歯石がある=すぐに大きな病気、というわけではありません。
ただ、早めに気づいてケアしてあげることで、病気の予防に繋がる事も多くあるんです。

この記事では、

「なぜ歯石が内臓の負担につながると言われるのか」
「どんなサインに注意すればいいのか」
「今日からできる対策」

を、できるだけ分かりやすくまとめます。

歯石は“ただの汚れ”ではないと言われる理由

歯石は、歯の表面についた汚れ(歯垢)が固まってできたものです。
一度固まると歯みがきでは落としにくくなり、少しずつたまっていきます。

そして歯石の周りでは、細菌が増えやすい環境ができると言われています。
この状態が続くと、歯ぐきの赤みや腫れ、出血などが起こりやすくなり、
歯周病(歯ぐきの炎症)が進行していくことがあります。

✅歯石が増えると起こりやすいこと

  • 口臭が強くなる
  • 歯ぐきが赤い、腫れている
  • 歯みがきやおもちゃで出血する
  • よだれが増える
  • 口を気にして触るのを嫌がる

こうした変化があるときは、
「お口の環境が荒れてきているサイン」かもしれません。

お口のトラブルが全身と関係すると言われるのはなぜ?

「歯の問題が、腎臓や心臓と関係するの?」
そう思いますよね。

これは、歯周病などで炎症が続くと、
「細菌と戦いなさい」という命令が血流に乗って全身へ影響する可能性がある
と考えられているためです。

あくまで“すべての子に起こる”という話ではなく、
関連が指摘されている、というイメージです。

✅歯ぐきの炎症が続くと体はどうなる?

歯ぐきで炎症が続くと、体の中では

「細菌と戦う」
「炎症を抑える」

という反応が起きやすくなると言われています。

この状態が長く続いたときに、
“ほのかな炎症”が続く可能性があるのです。

特にシニア期では、もともと内臓の余力が少なくなっている子もいるため、
お口の炎症がある状態が続くと、体への影響が大きくなる場合もあります。

腎臓や心臓への影響が心配になるケース

歯石がある子すべてが、腎臓や心臓の問題につながるわけではありません。
ただ、次のような場合は一度チェックしておくと安心です。

✅腎臓が気になるサイン

  • 水を飲む量が増えた気がする
  • おしっこの回数が増えた
  • 体重が少しずつ減ってきた
  • 食欲にムラがある
  • 口のにおいが強くなった

✅心臓が気になるサイン

  • 以前より疲れやすい
  • 呼吸が荒くなることがある
  • 寝ている時間が増えた
  • 咳が出る日がある
  • 興奮すると息が上がりやすい

これらは歯石だけが原因とは限りません。
ですが、体調の変化とお口の変化が同時にあるときは、
「お口のケアも含めて」体を見直すきっかけになるのではないでしょうか。

「お口の健康=体の健康」は大げさではない

歯石や歯周病は、見た目の問題だけではなく、
毎日の食事・睡眠・気分にも影響することがあります。

例えば、お口が痛いと

  • 硬いものを避ける
  • 片側だけで食べる
  • 食べるスピードが落ちる
  • 食べる量が減る

といった変化が出ることもあります。

また、口臭が強くなってくると、
飼い主さんも「なんとなく不安」を感じやすくなりますよね。

だからこそ、お口のケアは
“その子の暮らしやすさを守るケア”の一つとして考えるのがおすすめです。

歯石は家庭のケアだけで取れる?

結論から言うと、固まった歯石は家庭の歯みがきだけで落とすのが難しいことが多いです。
歯垢の段階なら歯みがきで落とせますが、
歯石になると歯にこびりつき、しっかり残ってしまいます。

✅家庭でできるのは「歯石を増やしにくくするケア」

  • 歯みがきを習慣にする
  • 歯みがきシートやガーゼから始める
  • 噛むことで汚れがつきにくい工夫をする

大切なのは、“完璧にやる”ことではなく
続けられる形を見つける事です。

病院でのケア(歯石除去)を考える目安

歯石の量や歯ぐきの状態によっては、
病院でのケア(歯科処置)を検討することもあります。

ただし処置には、年齢や持病などに応じて
慎重に相談しながら進めることが大切になります。

✅病院で相談したい目安

  • 口臭が強くなってきた
  • 歯ぐきが赤い、出血する
  • 歯がグラついている気がする
  • 食べ方が変わった(落とす、片側だけなど)
  • 口を触られるのを嫌がる

「相談するほどじゃないかも…」と思う段階でも大丈夫。
早めに状態を把握しておくと、選択肢が広がります。

歯みがきを嫌がる子への現実的な始め方

歯みがきは大切と分かっていても、
嫌がる子もとても多いです。

ここは、焦らず段階を踏むのがコツです。

✅嫌がる子は“口に触れる練習”から

1日目:口元に触れてすぐ終わる
2日目:唇を少しめくってすぐ終わる
3日目:ガーゼで前歯に軽く触れて終わる

このくらい小さく始めてもOKです。

「できたら褒める」
「嫌がる前に終える」

この積み重ねで、少しずつ慣れる子も多くいます。

歯石予防で意識したい生活のポイント

お口のケアは、歯みがきだけではありません。
生活の中でできることもあります。

✅今日からできる予防の工夫

  • ごはんのあとに口元を軽く拭く
  • デンタルケア用品を一つだけ試してみる
  • 噛めるおもちゃを安全な範囲で使う
  • 口臭や歯ぐきの色を“週1チェック”する

「全部やらなきゃ」ではなく、
一つずつ増やすくらいが続きます。

まとめ|歯石をきっかけに、体のケアを見直そう

歯石は見た目の問題に見えやすいですが、
歯ぐきの炎症が続くことで、体に悪い影響を及ぼす事もあります。

もちろん、すべての子がすぐに大きな病気につながるわけではありません。
ただ、早めに気づいてケアをしていくことで、
病気を防ぐ事にも繋がります。

もし最近、

  • 口臭が強い
  • よだれが増えた
  • 口を気にしている
  • 食べ方が変わった

こんな変化があれば、
「様子見」だけで抱え込まず、獣医師に相談してみてくださいね。

お口の健康を守ることは、
その子の体を守ることにもつながっていくかもしれません。

大切な子が、これからも健やかな日々を過ごせますように

福岡犬猫往診クリニック
院長:河野 和一郎(かわの わいちろう)

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