「腫瘍とは?」良性と悪性の違い|検査でわかること・治療の考え方

病気の基礎知識・検査ガイド

「腫瘍があります」と言われたとき。
頭の中が真っ白になってしまう方も少なくありません。

良性なのか。悪性なのか。
手術をした方がいいのか。
それとも様子を見ていいのか。

そして一番気になるのは、
**“命に関わることなのかどうか”**かもしれません。

この記事では、犬や猫に見られる「腫瘍」について、
良性と悪性の違い
検査でわかること
治療方針の考え方
を、できるだけ分かりやすくまとめます。

不安な気持ちの中でも、
「知ること」が大切なことになると、私は思っているんです。

そもそも「腫瘍」とは?|しこり=全部が悪いものではありません

腫瘍(しゅよう)は、簡単にいうと
体の中の細胞が増えて“かたまり”になった状態を指します。

触ると「しこり」のように感じることもあれば、
体の奥にできて、外からは分からない場合もあります。

ここで大切なのは、
しこり=すぐに危険と決まるわけではない、ということです。

ただし同時に、
見た目や触った感じだけで安全とは言い切れないこともあります。

「良性」と「悪性」って何が違う?|まず押さえたい基本

腫瘍は大きく分けると、
良性腫瘍悪性腫瘍に分けて考えられます。

ただし、これはあくまで分類であり、
実際は「性質に幅がある」こともあります。

ここでは、基本の違いを整理していきます。

✅ 良性腫瘍の特徴(一般的に言われていること)

良性腫瘍は、一般的には
転移しにくいタイプとされることが多いです。

そして多くの場合、
大きくなるスピードがゆっくりだったり
変化が少ないことがあります。

ただし、良性でも

  • 大きくなって生活の邪魔になる
  • こすれて出血しやすくなる
  • 場所によって負担が出る

といった困る事に繋がるケースも多くあるんです。

そのため、良性=放置でOK、と一律に決めるのは難しい場合があります。

✅ 悪性腫瘍の特徴(一般的に言われていること)

悪性腫瘍は、一般的には

  • 周囲の組織に入り込む(浸潤)
  • 血液やリンパを通じて広がる(転移)

といった性質を持つ可能性があるタイプです。

そのため、悪性が疑われる場合は
治療方針を早めに検討するケースもあります。

ただしここも大切で、
すべての悪性が同じ進み方をするわけではありません。

腫瘍の種類や部位、体の状態によって、
考え方が変わることもあります。

見た目だけで区別できる?|ここが一番の落とし穴

「このしこり、触った感じは硬いから悪性?」
「柔らかいなら良性かな?」

そう思いたくなる気持ちは、とても自然です。

でも実際には、
触った感触や見た目だけで判断するのは難しいことが多くあります。

理由は、
腫瘍以外にも「しこりの原因」はいくつかあるからです。

たとえば

  • 炎症による腫れ
  • 脂肪のかたまり
  • できもの(皮膚の増殖)
  • 膿がたまっている状態

など、見た目が似ているものもあります。

だからこそ、
「知るための検査」がとても大切になるという事を、知っていて欲しいんです。

腫瘍の性質を知ると、治療の選択が変わります

腫瘍の性質が分かると、
その後の方針が大きく変わります。

たとえば、

  • 早めの手術を検討する方が良い場合
  • 慎重にタイミングを見ながら進める場合
  • 数ヶ月ごとの経過観察が合う場合

など、選択肢が変わってきます。

ここで重要なのは、
**「正解は1つではない」**ということです。

大切な子の年齢、持病、体力、生活の様子によっても
“今できる最善”は変わることがあります。

検査で何が分かる?|主に行われる2つの検査

腫瘍の検査にはいくつか種類がありますが、
代表的なものがこの2つです。

✅ 細胞診(さいぼうしん)|針で細胞を見てみる検査

細胞診は、しこりに細い針を刺して
細胞を採取し、顕微鏡で観察する検査です。

【細胞診の特徴】

  • 体への負担が比較的少ない
  • 短時間で行いやすい
  • 目安がつくことがある

一方で、採れる細胞が少ない場合や
判定が難しい場合もあります。

✅ 病理検査(びょうりけんさ)|組織を詳しく調べる検査

病理検査は、腫瘍の一部または全体を採取して
組織を詳しく調べる検査です。

一般的には、病理検査の方が

  • 腫瘍の種類
  • 良性・悪性の可能性
  • どんな性質を持つか

などを判断する材料になりやすいと言われています。

ただし、検査方法の選択は状況によって変わるため
獣医師と相談しながら決めることが多いです。

「手術した方がいい?」と迷った時の考え方

腫瘍が見つかったとき、
「すぐに手術した方がいいのかな」と悩む方は多いです。

でも、手術が良い選択になる場合もあれば
慎重に検討した方が良い場合もあります。

その判断のために、
よく確認されるポイントをまとめます。

✅ 手術を検討する材料になりやすいケース(例)

  • 大きくなるスピードが早い
  • 出血しやすい、潰れやすい
  • 舐めたり噛んだりして悪化しやすい
  • 食事や排泄など生活に支障が出ている
  • 検査で早めの対応が勧められた

もちろん、これだけで決めるものではありませんが
ひとつの判断材料になります。

✅ 手術が「難しいこともある」理由

腫瘍の部位や大きさ、体の状態によっては
手術が簡単ではない場合もあるんです。

また、体力が落ちている子や持病がある子では
麻酔や術後の負担を考える必要があります。

だからこそ、治療は

「どう治すか」だけでなく
「どう過ごしていくか」も含めて考える

という視点が大切になると、私は考えています。

経過観察をするときのポイント|“見守り方”で安心が変わります

経過観察になったとき、
「ただ待つ」状態になると不安が強くなりやすいです。

そこでおすすめなのが、
“見守りの基準”を作っておくことです。

✅ おうちでできるチェック項目

  • 大きさが変わっていないか
  • 形がいびつになっていないか
  • 赤みや出血が出ていないか
  • 舐める回数が増えていないか
  • 痛がるようなしぐさがないか

✅ 便利なのは「写真」と「メモ」

しこりは日々見ていると変化に気づきにくいことがあります。

  • 週1回(毎日、数日に1回)、同じ角度で写真(または動画)を撮る
  • 触った感触や大きさをメモする
  • 日付を残す

これだけでも、受診のときに説明しやすくなります。

受診の目安|「迷ったら相談」で大丈夫です

腫瘍は、様子を見てもいいケースもあれば
早めに診てもらった方が安心なケースもあります。

特に、

  • 急に大きくなった
  • 出血している
  • 元気や食欲に影響がある
  • 痛がる・触られるのを嫌がる
  • しこりが複数ある

といった変化があるときは獣医師に、相談して下さいね。

「受診するほどじゃないかも…」と悩むときほど
一度見てもらうことで、安心につながることがあります。

まとめ|焦らなくて大丈夫。「知ること」から始めよう

腫瘍が見つかったとき、
不安になるのはとても自然なことです。

でも、良性か悪性かは
見た目だけでは分からないことが多く、
検査によって見えてくることがあります。

そして検査結果をもとに、

  • 手術を検討する
  • 経過観察を選ぶ
  • 生活の質を大切にしながら進める

など、その子に合った最善の選択を考えていく形になるんです。

焦らなくても大丈夫です。
まずは「知ること」。
そこからだ一歩が始まります。

もし「これはしこりかな?」と思ったら、
かかりつけの獣医師に相談してみてくださいね。

大切な子との毎日が、
少しでも安心できるものになりますように。

福岡往診犬猫クリニック
院長:河野 和一郎(かわの わいちろう)

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